この10年ほど、絶えずビール業界再編の注目株
サッポロは2008年にビール系飲料のシェア争いで始めて4位に転落し、サントリーの後塵を拝した。そのビール系飲料市場も若者のビール離れなどから大幅に縮小が続いており、08年の市場規模はピークだった94年から約16%減に萎んでいる。
サッポロには、プレミアムビール「エビス」のブランド力や、東京・恵比寿などに保有する不動産など有力な資産があり、この10年ほど、絶えずビール業界の再編の注目株だった。たばこ事業から食品分野への多角化を進める日本たばこ(JT)などが買収を模索したこともある。
現在、サッポロ株の20%弱を保有する米投資ファンドのスティール・パートナーズは、08年の金融危機以降、保有株式の売却を模索しているとされる。サッポロが今回、ポッカとの提携に投じる資金があれば、スティールの保有株を買い取る選択肢もあったはず。それだけに、あえて自社株買い取りをしなかったことは、「外資を含むさらなる大再編を見据えているためではないか」(金融筋)という憶測を呼ぶ根拠になっている。