厚労省注意呼びかけ 猫や犬からうつる?謎の感染症

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   猫をはじめ、ペットからうつることが多いとされる「ジフテリア」に似た症状が出る感染症に、厚生労働省健康局が都道府県に注意を呼びかけている。詳しい感染経路は分かっておらず、重症になると死に至る恐れもある。

保菌している動物から感染する

   「コリネバクテリウム・ウルセランス菌」。聞き慣れない名前だが、発症すると、感染症「ジフテリア」に似た症状になる。ヒトからヒトへの感染は現在のところ確認されていないが、ウルセランス菌を保菌している動物からヒトが感染し、発症することがあるという。

   2009年1月、こんな症例が確認された。東京都に住む57歳の女性がのどの痛み、くしゃみ、血の混じった鼻水、リンパ節の腫れを訴え、病院で受診した。処方された抗生物質や抗炎症薬も効かず、ほかの病院を受診したところ、「コリネバクテリウム・ウルセランス菌」に感染していることが分かった。国立感染症研究所がこの女性の周辺を調査すると、自宅でエサをやっていた野良猫5匹中2匹から、同じ遺伝子タイプのウルセランス菌が見つかった。そのため、この猫からの感染の可能性が高いと考えられている。

乳製品の摂取による感染報告も

   ただ、感染経路が詳しく分かっているわけではない。日本で01年に千葉県に住む女性の感染が確認されて以来報告されている6例は、猫や犬から感染したと疑われているが、海外ではペットとの接触のほか、牛など畜産動物との接触や、殺菌されていない生乳、乳製品の摂取による感染報告もあるという。英国では死者も出ている。日本での報告数が少ないのは、症状がジフテリアに似ており、かつ、届出義務のある感染症でないため、ウルセランス菌として報告されていない症例も多いようだ。また、動物がどのように感染するのかも分かっていない。

   厚生労働省健康局・結核感染症課の担当者は、

「情報が集まれば、猫や犬、あるいは他のどんな動物に多いのか、またはどのように感染し、どのくらい多い病気なのかが分かる」

   と話し、症状がみられた際の情報提供を呼びかけている。また現時点での予防策として、ペットを衛生的に保ち、もし風邪のような症状や皮ふ炎、粘膜の潰瘍がある場合は早めに獣医の診察を受けることも重要だという。ただ、外見上無症状で保菌している場合もあるそうだ。そのため、

「粘膜や体液、排せつ物などに触れたままにしたり、動物と過剰接触しすぎたりしないこと。基本的なことですが、接触後は必ず手洗いを行うことが大切」

   とアドバイスしている。

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