2009年8月30日に投開票を控えている「第45回衆院選」。「政権選択」と言われているだけに、国民の関心度は高い。そんな中、ネット上のブログや掲示板などには、公職選挙法違反に問われかねない、特定の候補者や政党への応援を呼びかけたり、誹謗・中傷したりする内容がたくさん書き込まれている。どこまで踏み込むと違反になるのか。
ブログや掲示板の書き込み「文書図画」に当たる
サイバーエージェントが2009年8月12日~14日、同社のブログサービスを利用する有権者5458人を対象に実施した「衆議院議員選挙に関するアンケート」では実に、84.8%が選挙に「行く」と回答した。ちなみに、「政権交代は必要か?」と聞いたところでは、59.4%が「必要」と答えたという。
しかし、選挙運動期間中に制限されるのが、インターネット上で、特定の候補者や政党への応援や投票を呼びかけたり、あるいは中傷したりすることだ。公職選挙法の上では選挙期間中、規定された葉書やビラ以外の「文書図画」は頒布することができない。総務省によると、インターネット上に書き込まれたブログや掲示板、ホームページ、SNSなどは「文書図画」に当たり、更新することは「頒布」に当たるという見解で、公職選挙法違反となる。これは、候補者やその関係者だけでなく、一般の人も該当するという。
ところが、ネット上では、公職選挙法違反に問われかねない書き込みは多数ある。ネット掲示板「2ちゃんねる」ではたとえば、「民主党wに一度政権を任せてみよう」「どうか自民党に投票お願いします」などと書き込まれている。一方、個人のブログでも、「一言だけ、言わせてください! 民主党に投票しよう! 政権交代を起こそう!」とか、また別のブログでは「中川昭一さんにみんなで投票しよう!」などとする呼びかけがあった。
特定の選挙名、候補者名、投票依頼が含まれると危ない?
民間シンクタンク「構想日本」の伊藤伸さんによると、選挙戦に対して書き込みに3つの要素――特定の選挙名、候補者名、投票依頼が含まれていた場合、公職選挙法違反の恐れがある、と指摘する。
「法解釈の上では、決められた文書図画以外の頒布が禁じられていて、ネット書き込みは認められていないというわけです。しかし、現実的には、多くの書き込みが見られることは、問題でしょう。そうした取り決めがあることを知らず、書き込んでいる可能性も高いだろうと思います」
もっとも、総務省は、どういった内容が特定選挙者への支持や反対に当たるのかについて、「全体的な判断が必要」と話すにとどまっている。
伊藤さんは、公職選挙法自体に問題があると考えており、改正する必要があると主張している。
なお、楽天などのインターネット企業60社が連盟で自民党と民主党に提出した質問状では、ネット選挙の解禁についての質問もあった。それによると、自民党では、「誹謗中傷など一定の規制を課した上で認め、速やかに解禁すべき」とした。ただし、ホームページに限ったことで、メールについては解禁しない考え。一方の民主党は、規制等には言及せず、「なるべく早い段階でインターネット選挙運動を解禁するべき」としている。