サイコロ「5」を出せば「1万円」アップ?
給料の決め方までユニークな企業もある。インターネット関連企業のイー・クラシス(東京都渋谷区)では、人事評価制度に「グレード制」を導入している。3か月ごとの人事考課で「1等級C」から「8等級A」といったランクが決まり、それによって給料が増減する。人事考課はチームの共通目標と、自分で決めた個人目標の「達成度」、さらに全社員が自分の仕事を評価する「360度評価」の結果によって行われる。もちろん部下も上司を評価し、場合によっては降級もありえる。
「目標設定には気を遣います。等級にあった難易度で、かつ良いサービスを生み出せる、売上に貢献できるような目標になるよう、面談で調整したりもします」(人事担当者)
全社員の目標達成率を公開するなど、評価方法を限りなくオープンにすることでモチベーションを高めているという。
「給料は上司の感情の振れで決まる部分があり、サイコロの出目の振れ幅に似ているところもある」という理由で「サイコロ給」を導入しているのは、ウェブ制作を行うカヤック(神奈川県鎌倉市)。基本給20万円で「5」を出せば「5%」の1万円が上乗せされるといった具合に、出目により毎月の給料「上乗せ分」が変動する。
「3年前には給料が『半分』か『倍』になるかという『リスキーダイス』もありました。さすがに『半分』では生活できないので廃止されましたが・・・」(広報担当者)
こうした「ユニーク社内制度」を取り入れる理由はなんだろうか。様々な企業の人事制度を紹介するサイト「じんつく」を運営するヴァンテージ・マネジメントの担当者は、若いIT企業が「社風」や「アイデンティティ」を代弁する「ツール」として面白い「社内制度」を利用しているのでは、と見る。
「他社との差別化を図る『ブランディング』であり、マスコミが採り上げれば『PR』にもなる。人材獲得や定着を目的にした『戦略』という側面が強いですね。『軽い』『浮ついている』という印象を想起させる危うさはありますが、考えているほうは意外としたたかなんですよ」