「月に100店単位で潰れる」 パチスロが大ピンチ

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   遊技人口の減少が指摘されているパチンコ業界に、さらに逆風が吹いている。パチンコ機の出荷は微増しているものの、パチスロの市場規模が、なんと1年で「半減」。「4号」と呼ばれる「ハイリスク・ハイリターン」な機種が禁止されたのがその理由で、業界団体では、「月に100店単位でつぶれている」と悲鳴をあげている。

わずか1年でパチスロ機出荷が半減

   調査会社の矢野経済研究所は2009年8月19日、パチンコ関連機器市場に関する調査結果を発表した。それによると、08年度のパチンコ関連機器の市場規模は1兆2981億円で、前年度比14.8%のマイナス成長だった。

   その内訳に目を向けてみると、興味深い事実が明らかになる。パチンコ機については前年度比5.2%増の9005億円で、市場規模は拡大している。ところが、パチスロ機が大きく足を引っ張っている形で、市場規模は前年度比51.6%減の2423億円。わずか1年で市場の半分が吹き飛ぶという異例の事態だ。

   金額ベースだけでなく、実際の店舗に出回っている台数ベースで見ても、この傾向は同じだ。パチンコホールでつくる業界団体の全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)の統計によると、07年末の段階で全国に295万台あったパチンコ台は08年末には308万台と4.1%の伸びを見せているものの、パチスロ台は164万台あったものが145万台。11.4%も落ち込んでいる。これと比例するかのように、07年末には1万3585あった店舗が08年末には1万2937にまで減少。わずか1年で、全国の4.8%の店舗が姿を消した。

   この背景にあるのが、パチスロをめぐる規制の強化だ。かつては「ハイリスク・ハイリターン」で人気だった「4号機」と呼ばれる機種が出回っていたが、04年に遊技機規則が改正され、07年から4号機の使用が禁止された。「大当たり」をする利用者がいる一方で、「大損」をする利用者が続出したことが問題視された末の規制強化だった。

07年から4号機の使用が禁止されたのが大きい

   後継として、射幸性の比較的低い「5号機」が登場したが、これが「パチスロの魅力が少なくなった」として利用者離れを引き起こした。4号機と5号機の併存期間が終わったこともあって、08年度になって影響が一気に統計上の数字に表れたようだ。

   全日遊連では、

「景気が悪くなって、利用者がパチンコ業界に落とす金額が減っているということがあります。ですが、やはり4号機が禁止されたことの影響が大きい。店舗が月に100件単位で潰れています。特に、パチスロ専業店の閉鎖が増えています」

   と窮状を明かす。パチスロ機製造会社の業界団体である日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)でも、プラス材料を見いだせていない様子で、射幸性についての規制緩和の見通しがない以上、市場縮小後の規模で当分は辛抱せざるを得ないとの立場だ。

   一方、前出の統計にもあるように、パチンコ台については台数も金額も増加傾向だ。テレビCMの出稿も目立つなど、「好景気」にも見える。ところが、これが必ずしもホール側に恩恵をもたらす訳ではないようで、前出の全日遊連では

「(キャラクターをあしらった)版権ものになると、1台あたりの価格が上がってきます。その分、ホール側からすると負担は増えるのですが、人気機種を次々に入れ替えないと、お客様に来ていただけませんので、入れ替えをせざるを得ない。いわば『自転車操業』なんです」

   と内情を明かした。

   パチンコ業界の「冬の時代」が終わる兆しは見えないままだ。

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