映画館で100円割引、ディズニーのカップル券配布
――「非モテ」というところにターゲットを絞ったのが面白いですよね。
永上 あえていうと、「非モテは恥ずかしくないんだ!」というメッセージを発信するサイトです。「アンチ恋愛資本主義」というか。「恋愛資本主義」というのは,恋愛強者、つまりモテる人がカッコいいんだという考え方ですが、実はモテない人のほうがカッコいいんだぞというのを言いたい。そういう「アンチ恋愛資本主義」を掲げて一致団結しようというのが、非モテSNSということです。
――リアルな世界だと「非モテ」というのは恥ずかしいけど、ネットなら非モテ同士が連帯できるということでしょうか。
永上 僕もそうなんですけど、あるクラスで打ち解けられなかった人が、別のクラスに移ったらすごい人気者になれるかもしれないじゃないですか。それと同じで、ネットの世界ならいろんなクラスに所属して、自分にあう人を探すことができる。ネットや携帯のおかげで、昔よりもひとりで寂しく生きる人が減ってきているんじゃないかと思いますね。
――非モテといえば、去年(08年)の6月に秋葉原で連続殺傷事件を起こした加藤被告は「モテないこと」に相当コンプレックスを感じていたといわれています。
永上 彼のプロファイルを見ると、派遣の問題とか不景気とかいろいろ出てきますけど、結局のところ、この人は「モテない」ということが1番問題だったんじゃないかと思います。非モテだから殺人を犯してしまったとしたら、すごく悲しいことですよね。せめて、事件の前に「非モテSNS」があれば、食い止められたかもしれないのですが……
――非モテの側から政治に望むことはありますか?
永上 非モテ割引ですね。これまではモテる人が得をして、モテない人が損をするという「恋愛資本主義」の世の中でした。モテる人は恋愛しやすくて、モテない人はどんどん恋愛しづらくなっている。でもそれはおかしいから、正す必要がある。たとえば、映画館で非モテ100円割引とか、非モテの人にディズニーリゾートのカップル券を配るとか、そういう「非モテ支援策」を実施してほしいですね。
――でも、非モテかどうか、どうやって判断するんですか?
永上 基本的には自己申告制だと思いますが、もし問題があるようだったら、僕が見分けますよ。「君は、非モテじゃない!」って(笑)。
※インタビュー第5回は、ivote代表・原田謙介さんです。
永上 裕之さん プロフィール
えがみ ひろゆき 1986年、福井県生まれ。高校卒業後上京し、テレビの専門学校に通いながら、独学でプログラミングを勉強。数々のウェブサイトを立ち上げる。現在は都内のIT企業で営業マンとして働きつつ、モテない男女のためのコミュニティサイト「非モテSNS」を運営。「非モテの神」を自称している。