メディアの取材「質問が失礼、しつこい、だまし討ち」
――自社メディア「ライブドア・ニュース」も立ち上げました。何を狙っていたのですか。
堀江 ヤフーのキラーコンテンツは、ニュースのトピックスだと思うんです。これを実現するためには、ニュースを集めて来なきゃいけない。時事や毎日は契約出来たのですが、共同・読売は出してくれなかった、要は「完璧なニュースサイト」にならないんですよね。そこで独自取材をしていく必要があると、当時は思っていた。でも、今ではJ-CASTさんのような独立系のウェブメディアも出てきていますし、仮に当時が今の状況だったら、コストかけてまで立ち上げなかったかも知れないですね。実際、今のライブドアのサイトは、多くのニュースが集まっていて、トピックスもヤフーよりも出来が良いくらいですよね。
――動画で生番組もやっていました。
堀江 「ネット上のCNN」を目指したかったんです。地上波ではできないような、24時間ニュースチャンネル。何か事件が起きたら、すごくページビューが増えるだろうなー、って。「ニュース以外は一切やらない」としておけば、大事件の時は、ユーザーは気になって見るだろうなと。
――ただ、ライブドア・ニュースも、動画生放送もサービスを終了してしまいました。何故だと思いますか。
堀江 収益源を失って、コストカットをせざるを得なくなったからでしょう。スタート当時は、ライブドア証券とかFXとか、儲かってましたからね。ニュース自体は儲からないのですが、ポータルを育てる上での核になると思っていたので、先行投資をしたんです。 まぁ、ライブドア証券は売っちゃいましたし、儲かる事業はなくなっちゃったので、リストラは仕方がないんじゃないですか。
――ほかでは、楽天がTBSの経営権を握ろうとしましたが、結局断念しました。
堀江 (単独株主が33%以上を持てなくなるように)放送法を変えられてしまったので、しょうがないでしょう。どうしょうもない(笑)。楽天も、自分がフジテレビを買おうとしていた時と同じことを考えていたのではないでしょうか。ネットでできることをテレビでやる必要はないとか、コンテンツ制作に、ある程度お金をかけていくとか。
――堀江さんは、いつもメディアの注目を集めていますが、メディアの取材のあり方についても聞かせて下さい。「こんなヒドイ取材をされた」例も。
堀江 枚挙にいとまがないんですけど(笑)。質問は失礼なのが多いですね、週刊文春、次に週刊現代。ブログでも書いた「宮内人形」の件、「ウソネタ」だって言ってるのに、何で記事にするんですかねー。あと、しつこい。自分が乗っている車に、無理矢理乗ろうとしたり。日本テレビの記者が電話を勝手に録音してオンエアしたり。テレビ朝日は、心配したふりして電話かけてきて、「録音してません」と言っていたのに、内容をオンエアされました。だまし討ちみたいなのは、どうかと思いますよねー。別にだまし討ちしなくても、正面から聞いてくればいいのに、と思いますよね。
――最近、メディアへの露出が増えています。今後は、「ニコニコ生放送」のようなウェブ媒体に軸足を移していく予定ですか。AV女優のカメラマンをやるというのでも話題になりましたね。
堀江 特に、ウェブということはないです。雑誌や新聞にしても、別に選別してはいません。受けないのもありますけど。独断と偏見で(笑)。AVの件も、取材の一環ですよ。カメラマンは面倒なのでやらないかも知れませんけど、企画が持ち込まれれば、評論などはやるかも知れません。
堀江 貴文さん プロフィール
ほりえ たかふみ 株式会社ライブドア元代表取締役CEO。1972年、福岡県生まれ。91年東京大学教養学部文科III類入学(後に中退)。96年、資本金600万円で「有限会社オン・ザ・エッヂ」を設立。翌97年には「株式会社オン・ザ・エッヂ」へと組織変更。2002年、経営破綻した旧ライブドアから営業権を取得、04年には社名を株式会社ライブドアに変更。同年6月、経営難に陥っていた大阪近鉄バファローズ(現・オリックスバファローズ)の買収を申し出る。05年2月、ライブドアがニッポン放送の筆頭株主に。フジテレビとの間で、ニッポン放送の経営権争奪戦が勃発するも、同年4月にはライブドア、フジテレビ両社で和解が成立。フジテレビはライブドアから1000億円でニッポン放送株を買い取り、ライブドアに440億円の出資をすることになった。同年8月、広島六区から衆議院議員選挙出馬。落選。06年1月23日、証券取引法違反容疑で逮捕され、同年4月27日、東京拘置所から保釈。現在は最高裁判決を待つ身である。近著は『徹底抗戦』(集英社)。