中国ではここ数年、マイホームブームと相まって庭木の「マキ」がもてはやされている。そのせいで、日本産の良質なマキは大小問わず、香港・中国のバイヤーにごっそりと買いつけられている。中には1本1000万円の値がついたものもあり、降ってわいたようなブームに千葉や静岡の産地は困惑している。
1バイヤーだけで7000万~1億円ほど購入
「マキ」とはマキ科マキ属の樹木。「イヌマキ」のことを指す場合が多い。比較的温暖な地域に分布しており、庭木や防風林として植えられる。日本ではゴルフ場で見かけることも多い。とりわけマキの植栽が有名なのは、千葉県匝瑳(そうさ)市。匝瑳市には植木業者約300~400社が集中している。造形が美しい優れたイヌマキを育てていることで、知られている。
匝瑳市には3年ほど前から、香港人・中国人バイヤーが頻繁にマキを買い付けにきている。匝瑳市の八日市場植木組合・佐藤悟組長によると、現在20人近くのバイヤーがきている。「マキの価格は、胴回りの太さと造形の美しさによって決まる」そうで、その価格はまちまち。主流は100万円~200万円前後のものだが、最も高かったものは樹齢300年の大木で、1000万円の値がついた。ひとつの畑のうちの約7割がごっそりと買われてしまったケースもあったそうだ。
「マキはこれまで、1年間に10本売れればいいというものでした。ところが、ここ2,3年は、1バイヤーで、年間50~80本を買いつけています。価格にして7000万~1億円になる計算でしょう」
これほどまでに「マキ」がもてはやされているのは、中国のマイホームブームと関係している。マキは中国名を「羅漢松」と呼び、中国では幸せを呼ぶ木、縁起物として重宝されている。手入れの行き届いたマキの枝ぶりは、「龍」のように見える。この木があれば、一生貧乏になる心配はないともいわれている。