元ライブドア社長の堀江貴文さん(36歳)は前回総選挙に出馬した経験をもつ。シンプルな政府を実現したかったのだという。今は、年金や生活保護にかわる新しい社会保障制度として、すべての国民に一定金額を給付する「ベーシックインカム(最低限所得保障)制度」の導入を唱えている。
少なくとも死ぬことはないという金額を最低限保障
――ベーシックインカムというのは、どんな制度ですか?
堀江 国民全員に対して、最低限の生活ができるような金額、たとえば月5万円から8万円くらいを一律に配る制度です。それくらいあれば地方に家を借りて、最低限の食事ができて、少なくとも死ぬことはないという金額を最低限保障する。全員に配るというのがポイントで、金持ちも金をもっていない人も、0歳児も80歳の老人も区別しないで同じ金額を配る。全員に一律に配るので、手間がかからないというわけです。
――非常にシンプルですね。
堀江 シンプルです。だから、いいんです。僕はもともとプログラマーだったんですけど、プログラマーには「複雑なことは悪いことだ」という思想がある。社会保障制度はベーシックインカムだけにしてしまって、年金も生活保護もやめてしまう。そうすれば、年金の計算とか、生活保護の審査とか余計な手間がかからなくなって、担当の役人もいらなくなる。全部、クビにできるじゃないですか。
――役人をクビにできるとなると、役人の抵抗があるんじゃないですか?
堀江 クビにしたっていいんですよ。だって、彼らにもベーシックインカムが払われるんだから。ある程度、人減らしをしても文句は言われないわけですよ。もっと文化的な暮らしがしたければ、別のところで働けばいい。逆説的ですけど、すぐクビにできるから企業は人を雇いやすくなって、雇用が増えるはずです。働きたい人はそういう会社でまた働けばいいんです。
――堀江さんが社会保障的なことを言うのは、ちょっと意外な感じもしますが?
堀江 本当は、保護しなくてもいいと思うんですけど、「保護しなければいけない」という意見の人もたくさんいるわけです。じゃあ、最低限の生活保障を一番コストをかけずにやる方法は何かと考えたときに、ベーシックインカムじゃないかと思ったわけですよ。手間がかからないというほかにも、ベーシックインカムにはいいところがある。
――どんなメリットですか?
堀江 まず、給付金額が一律だったら物価の安い地方に住んだほうが得なので、東京一極集中が是正される。それから、大人と同じように0歳児にも給付するから、子どもをたくさんつくったほうが得になる。一人に月8万円配るとしたら、子ども5人で40万円ももらえる。民主党の子ども手当よりも、こっちのほうが絶対に少子化対策になると思う。