民主党の政策は即効性に欠く
日経平均株価は8月に入っても1万円台をキープしている。8月17日は3日ぶりの大幅反落となったが、終値は前日比328円72銭安の1万268円61銭だった。大手証券の関係者は「一時的なもので上昇基調に変わりはない」と話している。
いまの株価は、エコカー減税やエコポイント制度の導入などの麻生内閣の経済対策が効を奏している。政府閣僚による景気の「底入れ宣言」もあった。マーケットには外国人投資家も戻ってきて、7月の買い越し額は08年5月以来の1兆円超となるなど、明るい兆しにある。
こうした株価の動きはすでに「民主圧勝」を織り込んだものといわれているが、麻生内閣の成果といえなくもない。自民党が政権を維持したら、株価はどう動くのだろう――。
第一生命経済研究所の主席エコノミスト・嶌峰義清氏は、衆院選自体が大きく株価を揺さぶることは考えにくいと前置きして、こう観測する。「景気が予想以上に弱いとの見方から、追加の経済対策がポイントになるでしょう」。
最近の景気の回復ぶりをみても明らかなように、エコカー減税のような「買わないと恩恵がない」政策は消費を刺激しやすいが、定額給付金のような「買わなくても恩恵に与れる」政策は、需要の刺激効果がいま一つ。民主党の提唱する育児給付金などは後者にあたる。
嶌峰氏は「民主党の政策は即効性に乏しいといえ、株価が軟調に推移するかもしれません」とみている。
自民党の政権維持は、いわば「サプライズ」。ただし、安定感や当座の景気対策への信頼感など「手堅い」面がある。足元で株式を売買している人の多くが、短期投資を中心とする外国人投資家なので、「自民党の政権維持ならば、一たんは株価の上昇要因になる」という。