GMの栽培規模は拡大の一途
GM作物は、1990年代後半以降、米国を中心に急速に普及。米非営利団体の国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の統計によると、1996年にはわずか170万ヘクタールだった全世界での栽培面積は、08年には1億2500万ヘクタールにまで拡大。GMは(1)特定の除草剤に強い遺伝子が組み込まれている(2)害虫に強い遺伝子が組み込まれている、といった点で従来種よりも生産性の向上が期待されており、栽培規模は拡大の一途だ。08年現在で、GMが栽培されているのは28か国に達している。
現段階では、GM栽培28か国の中に日本は含まれていないが、多くのGM作物を輸入している。例えば、日本は大豆を年間400万トン輸入しており、このうちGM大豆が300万トン。ナタネはもっと「GM率」が高く、年に200万トン輸入するうち、8割がGMだ。
実は2004年に、輸送途中にトラックなどからこぼれ落ちたと見られる「GMナタネ」が自生していることが確認されており、これが懸念材料になってきた。
「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」(天笠啓祐代表)では、05年から全国の生協などを通じて輸入ナタネの陸揚げ拠点などを中心にセイヨウナタネの検体を集めているが、08年度の調査では、29都道府県から集まった1061点の自生ナタネのサンプルのうち、38点がGMナタネであったことが確認されている。GMナタネの自生が確認されたのは、茨城、千葉、静岡、愛知、兵庫、山口、福岡、熊本、大分の9県にのぼる。
同会では、調査結果を通じて
「社会全体で非GMナタネ、非GM作物を選択するしか、根本的な対策はない」
などと主張。さらに、「交雑は時間の問題」と主張し続けており、今回の調査で、この懸念が現実化した形だ。今後、GMのあり方について、幅広い議論が求められることになりそうだ。