ネット使えるかどうかで議員の価値決まる
――ネットの活用となると、若い世代のほうが長けています。最近、若い市長が全国で次々と生まれています。これはいい兆候でしょうか。
熊谷 いい兆候、というよりも、必然でしょう。なぜ若い首長が生まれているかといえば、右肩上がりの経済成長が終わったのが一番大きいと思います。実はこれまでの長い日本の歴史のなかで、右肩上がりが終わるというのは初めてのことです。ここから先は、誰も予測できない世界に突入していく。そういう意味では、60代の行政経験豊かな人も、30代や20代の人もまったく同じなんですよ。
――新しい変化に対応しなければいけないという点では、かえって若い人のほうが向いているのでしょうか?
熊谷 右肩上がりの時代は終わったという天動説から地動説への変化に、まだ多くの人は対応しきれていない。でも我々、20代や30代の世代というのは、物心がついたときには右肩上がりが終わっていたわけです。だから、これからはそういう若い世代が政治をリードしていくべきなんだろうと思いますね。
――しかし、「政治は経験が重要だ」という考え方も根強いように思いますが?
熊谷 たしかに今までは、政治に経験は必要でした。しかし、インターネットがすべてを変えてしまった。政治家の派閥やグループがなぜあったのかというと、政治に関する情報を吸い上げるためです。でも今は、千葉市が他の市と比べてどうかとか、他市の先行事例とか、ほとんどの政策に関する情報はインターネットで調べることができる。だから、1期の新米議員と8期のベテラン議員が、政策研究という点では同じレベルに立ててしまう。
――インターネットの活用という点では、若い議員のほうがむしろ有利といえそうですね。
熊谷 いまや選挙で何回当選しているのかではなく、インターネットを使えるかどうかで議員の価値が決まってしまう。その点では若手が有利ですが、年配の議員でも、私の尊敬する議員はみんなインターネットを使っていますよ。政策研究をまじめにやろうとしている議員だったら、当然インターネットも使うに決まっています。それに対応できない議員は、これからはもう生き残れないんだと思いますね。
※インタビュー第2回は、元ライブドア社長の堀江貴文さんです。
(当初予定していたフリーライターの赤木智弘さんは第3回に掲載します)
熊谷 俊人さん プロフィール
くまがい としひと 1978年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、NTTコミュニケーションズ入社。企画部門で事業統合や部門間調整などの業務を経験した。07年4月に千葉市議会議員に当選。09年6月、現職市長の汚職辞任に伴う千葉市長選で当選し、政令指定都市では歴代最年少の31歳という若さで市長に就任した。