静岡空港早くも「前途多難」 利用低調で減便の「危機」

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   「最後の地方空港」とも言われる静岡空港(静岡県牧之原市、島田市)が開港して2か月だが、早速「前途多難」に見舞われている様子だ。日本航空(JAL)の福岡便について、一定の搭乗率に達しなかった場合は県がJALに支援金を支払うという制度に対し、川勝平太知事は見直しを主張している。ただ、「1日3便」という便数を搭乗率保証で確保したという経緯があるだけに、見直しを声高に叫べば、今度は減便の可能性が現実味を帯びてくる。

JALの福岡便のみに搭乗率保証制度

静岡-福岡便の減便はあるのか
静岡-福岡便の減便はあるのか

   搭乗率保証制度は、平均搭乗率が70%を下回った場合、県がJALに対して1席あたり1万5800円を支払うというもの。静岡空港は、国内線は3社が乗り入れており、JALが札幌便と福岡便、全日空(ANA)が札幌便と沖縄便、地元資本の「フジドリームエアラインズ」(FDA)が小松便、熊本便、鹿児島便を飛ばしている。ところが、この搭乗率保証制度、どういう訳かJALの福岡便のみに設定されているのだ。当然、ANAは「不公平」と反発。制度は2009年度当初予算案の一部として盛り込まれたものだが、県議からも「70%の設定は高すぎる」といった声が噴出した。

   静岡空港以外で唯一搭乗率保証があるのが、ANAの能登空港(石川県)-羽田線だ。03年の能登空港時に搭乗率を70%に設定し、当初は1往復だったものが2往復運航されることになったという経緯がある。ただ、能登空港が静岡と違うのは、目標搭乗率を上回った場合は、航空会社から返金があるという点だ。もっとも羽田-能登線は地元の努力もあって予想外に好調で、実際、開港1年目は、約1億円がANAから県に返金されている。

   これに対して、静岡県側は「福岡便には新幹線との競合というリスクがある」なとど説明。さらに「70%は達成できる。保証は、まさかの時の下支え」と、制度はあくまでも「保険」だとの見方を示してきた。

   ところが、実際に静岡空港が09年6月4日に開港してみると、この前提が覆ったことが明らかになった。静岡県が発表した6、7月累計の搭乗率は、札幌線が81.8%、沖縄線が83.1%と好調な一方、福岡線は61.4%。制度の発動が濃厚なのだ。仮に搭乗率60%で推移した場合、1年間で3億6000万円をJALに支払う計算になる。

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