オーストラリアドルやニュージーランドドル、ブラジルレアル、南アフリカランド――といった新興国や資源国に個人マネーが注目している。外国為替証拠金(FX)取引で、「買い」が加速度的に増加、なかでも注目は豪ドルと南アランド。人気の背景は、ともに資源国であることと高い政策金利がある。
南アランドは93%超が「買い」
東京外国為替市場で、豪ドル「買い」が続いている。豪ドル円は1豪ドル80円前後で推移。2009年8月14日は1豪ドル80円04-79銭を付けて、少し落ち着いた。
一方、南アランド円は前日の13日、高値で1ランド12.05円、安値11.76円を付けた。8月に入ってから、12円を挟んで推移している。
NTTグループのFX会社、NTTスマートトレードのポジション分析によると、8月5日の売買比率で豪ドル円は、買いが55.95%、売りが44.05%だったが、13日では54.38%が買いで、売りは45.62%だった。わずかだが、「買い」優勢で推移。いわゆる「ジリ高基調」にあるとみられる。
南ア・ランドは対円で5日の買いが93.42%を占めた。13日も93.51%が買いと圧倒的。同社営業企画部の工藤隆部長は、「南ランドについては、最近は買いのポジションをもつ投資家が増えています。リーマンショック後は一時、買いポジションは70%前後まで減っていました」と話す。
資源国であるうえに「高金利」が魅力
豪ドルや南アランドが人気なのは、資源国であるうえに政策金利が高いことがある。
豪州は、8月4日に政策金利を3.00%に据え置くことを発表したばかり。南アフリカは13日に0.5ポイント引き下げたが、それでもまだ7.00%の高い水準にある。
一方、日本の政策金利(0.10%)は世界でも一番低い水準のまま。そのため、円を売って外貨を買おうという投資家は増えてくる。なかでも、豪ドルや南アランドは、通貨の金利水準が相対的に高いので、金利収入を期待して投資する向きがある。
リーマンショック後の世界的な景気悪化から、中国が一歩先行して抜け出しそうなこともあって、中国が豪州などの資源国からの輸入を増やすことが見込まれる。それに合わせて、資源国の景気が上昇すると期待されていることや、国内の景気回復による株価の上昇によって、多少リスクをとって投資してもいいという投資家が増えてきたことも、「高金利通貨」への投資が活発になった要因とみられる。
前出のNTTスマートトレードの工藤氏は、「基本的には高金利通貨を長く保有しようという投資家は多いようです」という。
このまま世界景気が上向くと読めば、豪ドルや南アランドなど資源国通貨への「買い基調」はまだ続く。