酒井容疑者に毛髪鑑定 起訴の決め手になるか

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   覚せい剤所持の容疑で逮捕された酒井法子容疑者(38)をめぐり、新たな展開が明らかになった。酒井容疑者の尿検査の結果が陰性と判明する中、警視庁が毛髪鑑定に踏み切ったためだ。この毛髪鑑定、どの程度「威力」があるものなのだろうか。

半年~数年前に使用していた薬物も検出できる可能性

   酒井容疑者をめぐっては、自宅から押収された吸引器具に付着していた唾液が、DNA鑑定で酒井容疑者のものであったことが明らかになっているほか、「08年夏頃から夫(高相祐一容疑者(41))に勧められ、数回吸った」などと供述。ところが、通常の薬物事件では立件のための切り札となるはずの尿検査で陰性の結果が出たため、一部では「起訴できないのではないか」との声もあがっていた。

   一方、高相容疑者が、「4年ぐらい前に妻に覚せい剤を勧めた」などと供述していることが明らかになったことから、酒井容疑者が当初の供述よりも前から覚せい剤を使用していた可能性が浮上。このため、警視庁では、酒井容疑者を使用容疑で立件することを目指して、毛髪の鑑定に踏み切った。

   日本で毛髪から薬物を分析・鑑定する手法が本格化したのは、1980年代後半だ。それより前は、尿検査で薬物を検出していたが、個人差が大きい上、2、3日から10日ぐらい前の使用までしか確認できず、捜査上の大きな壁になっていた。

   一方、毛髪は1か月に1センチ~1.3センチ伸びるとされることから、先端部分から分析すれば、半年~数年前に使用していた薬物も検出できる可能性がある。薬物を使用した時期を特定するため、髪を数センチずつ切り分けた上で作業する。これを薬剤で溶かした上で、熱分解するなどして分析を進める。

弁護側は「科学的方法は確立されていない」などと反発

   著名人の裁判で毛髪鑑定が行われた例としては、1993年に角川春樹氏=最高裁で懲役4年の実刑判決が確定、すでに出所=が米国からコカイン密輸しようとしたとして麻薬取締法違反の罪などで逮捕・起訴されたケースなどがある。角川氏のケースも、酒井容疑者と同様、尿検査では薬物の使用が確認できなかった。千葉地裁での公判では、角川氏の毛髪を鑑定した警察庁科学警察研究所員が出廷し、

「約6センチの頭髪の先端に近い部分ほど、コカインの含有量が多い。このことから、角川被告(当時)は逮捕の4か月以上前から、時期をさかのぼるほど多量のコカインを常用していたと考察される」

などと証言。弁護側は「科学的方法は確立されていない」などと反発し無罪を主張したが、判決では検察側の主張が、ほぼ全面的に採用された。

   もっとも、毛髪鑑定に関連する業界は、事件を受けて、鑑定方法を公にすることについては慎重な姿勢だ。ある鑑定専門会社には、捜査に影響を与えるとの理由で取材に応じてもらえなかったほか、関東信越厚生局麻薬取締部でも

「警察とは鑑定のやり方が全く同じかどうかは分からないので、一概には言えない」

と話すにとどまった。

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