インターネットユーザー協会(MIAU)は2009年8月14日、東京・秋葉原でシンポジウム「インターネットと選挙・政治を考える」を開催した。堀江貴文・元ライブドア社長や岸博幸・慶応大学教授らが、政治家の情報発信ツールとしてのインターネットのほか、個人献金を集めるシステムや世論を形成するメディアとしてのネットの可能性について語り合った。
シンポジウムでは、『オバマ現象のカラクリ』(アスキー新書)を著したフライシュマン・ヒラード・ジャパン社長の田中慎一氏が、米国オバマ大統領のインターネットを駆使した選挙運動を紹介。
「オバマはインターネットをうまく活用して自分のメディアを作った。それにより、サイレントマジョリティを政治につなげることに成功した」
と、政治におけるインターネットの可能性を評価した。
「まず若い人が怒ることが最優先」
それに対して堀江氏は、
「アメリカで起きたことが日本でも同じように起こるとは思えない。アメリカは日本よりも若い人が多いが、日本はネットとは関係ない高齢者が多い。いくらネットで議論しても実際の政治に反映されるのか疑問だ」
と否定的な見方を示した。岸氏も、
「ネット選挙はこれからどんどん解禁されると思うが、何も変わらないと思う。理由は、日本は若い人が政治に参加しない『シニア民主主義』だから。投票にくる60代や70代にいい思いをしてもらって、そのつけを若い人に回すのが当たり前になっている」
と、若者の政治不参加に問題があると述べた。その一方で
「ネットは便利なツールで、若い人が本当に怒れば政治を変えられる。まず、若い人が怒るのが最優先だ」
と、シンポジウムを中継したニコニコ動画の視聴者や会場の参加者に呼びかけた。最後に堀江氏は、シンポジウムを主催したMIAU代表の津田大介氏に向かって、
「MIAUが政治団体を作って、次の参議院選挙で何人か立てて、政治の世界に面白いムーブメントが起きればいい」
と期待を表明した。