上場企業が安定株主を確保するため、株式の持ち合いを高めていることが、野村証券金融経済研究所の調べでわかった。2008年度の株式の持ち合い比率は12.7%で、前年度に比べて0.4ポイント上昇。これで3年連続の上昇となった。
上場企業の株式持ち合いは、銀行が株式の持ち合い解消を進めたことで2005年度には11.1%にまで下がったが、06年度には投資ファンドなどによる買収攻勢が強まったことを背景に、安定株主の確保を狙いに再び上昇していた。また、サブプライム問題やリーマン・ショックの影響で、外国人投資家が日本株の保有を急激に減らしたことが株式の持ち合い比率の上昇につながったとみている。
ただ、09年3月期に多くの有価証券評価損が計上されたことで、結果的に株式の持ち合いが企業の業績悪化につながった。同研究所では「持ち合いに理解を示していた投資家も、今後は見方を厳しくする方向にあると考えられる」と指摘している。
なお、同研究所では上場企業が保有する株式の時価が市場全体の時価総額に占める割合を「持ち合い」比率として毎年試算している。