「料亭や高級寿司屋でしか食べられなくなるかも」
取引禁止となれば、大西洋でクロマグロを獲っている漁業者にとって死活問題だ。日本で大西洋マグロを獲っている船は40隻ほどで、そのうち10隻は宮城県の気仙沼漁港から出ている。
1隻あたりのクロマグロ漁獲量は年間50トンと決められている。1kgあたりの取引価格を3000円と仮定すると、取引禁止の場合の損失額は10隻で年間15億円になる、と宮城県水産新興課は試算している。
同課の担当者は、
「半年から1年かけて本マグロだけを獲っていることが多いです。本マグロは単価が高いので、ほかのマグロで同じだけ稼ぐには量が必要になりますし、本マグロが生息する太平洋など他の漁場に移ればいいという簡単な問題ではありません」
と頭を抱える。
消費者にも影響が出そうだ。
東京・築地の卸売会社の専務は、
「取引禁止になれば大間のマグロのような、日本近海で獲れる最高級魚しか出回らなくなるでしょう。希少価値が増すので今よりも値段が高くなりますし、料亭や高級寿司屋でしか本マグロが食べられなくなるかもしれません」
と話している。