覚せい剤所持の容疑で逮捕された酒井法子容疑者(38)をめぐり「検出量が微妙なので起訴は困難なのではないか」との見方が広がる中、「起訴すべきだ」との声の大合唱になりつつある。スポーツ紙は、酒井容疑者がかつてかかわったキャンペーンの標語をもじって「『逃げ得』ダメ!ゼッタイ!!」という見出しがついたものもあり、テレビでも「起訴できる」という専門家の声が相次いでいる。
「『逃げ得』ダメ!ゼッタイ!」「立件へ政府『介入』」
酒井容疑者が所持していた覚せい剤の量が微量過ぎるとして、起訴が困難なのではないかという報道が相次いだのは、2009年8月11日のことだ。ところが翌8月12日のスポーツ紙紙面を見ると、様相が一変。「『逃げ得』許すまじ」と言わんばかりの報道一色だ。
例えば、8月11日には、
「有名タレントの事件でもありましたし、 国民の関心も非常に高いものがございます 若い方々が、その(薬物関連の)方向に入っていくことがあってはならない」(河村建夫官房長官)
「非常に世間にも大きな影響がある。これまでにも薬物乱用防止教室などを開いてきたが、より徹底してやる必要がある」(塩谷立文科相)
などと、閣僚が相次いで事件について言及。これを受けて、スポーツニッポンは
「立件へ政府『介入』」
という見出しを付けた。また、デイリースポーツは、「『逃げ得』ダメ!ゼッタイ!」として、酒井容疑者の毛髪鑑定に向けて準備が進んでいることを報じている。鑑定には本人の同意が必要だが、仮に慢性的に覚せい剤を使用していた場合、最後に使用してから2週間程度であれば検出が可能だという。
捜査当局は自らのプライドにかけて起訴に踏み切る?
また、専門家からも、「不起訴説」には否定的な声があがっている。 例えば、TBS系で8月12日昼に放送された「ひるおび!」では、元麻薬取締官の浦上厚さんが
「従来の固定観念から言えば、尿から(覚せい剤が)出なければ不起訴になるのがほとんど。でも、それは過去のことで、証拠も残っている。毛髪鑑定も、おそらくクロになる。本人の供述もある。これを起訴しない手はないと思います」
と、起訴されるだろうとの見通しを示す一方、同番組に出演していた元警視庁捜査第一課長の田宮栄一さんは、
「捜査が開始された段階で『起訴されないんじゃないか』という報道が一部で流れていますが、全く節度のない報道だと思います。逆に、捜査当局に対する『できるか?』という挑戦状みたいなもので、検察当局は、かえって『よーし、起訴に持ち込むぞ』と檄を飛ばされたような感じで頑張るのでは。私が指揮官でも『あんなことを書かれてるんだから、それが誤報だということを証明するためにも、絶対に必要な証拠資料を集めて来い!』って檄を飛ばしますね」
と、捜査当局は自らのプライドにかけて起訴に踏み切るだろうとの見立てだ。
所属事務所に向けられた視線も厳しくなりつつある。酒井容疑者が所属するサンミュージックの相澤正久社長が、不起訴の可能性が指摘されだしたことについて
「(捜査当局の)心証が良くなってきたようだ」
と発言。これが「不起訴の場合は解雇されないのではないか」という憶測を呼んでいるのだ。これを受けて、ライブドアが行った「事務所『不起訴なら解雇撤回』納得できる?」というテーマのアンケートでは、実に81.6%が「納得できない」と回答している。
こう見ていくと、「すでに外堀は埋められている」というのが実際のところなのかもしれない。