「支払先への変更手続きが面倒だ」
一般的に、クレジットカードが悪用された場合は、カードの再発行手続き(差し替え)を行って事故の再発を防止する。
カード大手のジェーシービー(JCB)は、「多くの人は、気持ちが悪いと感じ、変更しています」というが、その際にかかる1000円程度の再発行手数料などはJCBが負担している。また、カード会社によっては不正使用の被害(実損分)を補償するケースもあって、対応は手厚い。
カードの再発行の際に、利用者がコスト負担を強いられることはない。ただ、JCBや三菱UFJニコスなどのカード会社は「今回のアリコの件で、カード利用者に差し替えを求めることはありません」と口を揃える。
「差し替え」には強制力がないので、引き続き不正検知システムによる監視強化などで対応していく。あくまでも、「差し替えはカード利用者の申し出による」(三菱UFJニコス)という。
あるカード会社は「現時点で、目立った動きはありません」と話し、事件発覚後の差し替えの申し出はあまりないようだ。
とはいえ、カード会社も「再発防止のためにも、できれば差し替えに応じてほしい」というのが本音。アリコのような情報漏えい事件が起こるたびに、カード会社はネット決済にかかわるセキュリティの強化を求められるなど、周囲からの風当たりが強まるからだ。
カード利用者が「差し替え」を拒む理由は、通販にカード決済を利用するケースが増えているためで、「カード変更に時間や手間がかかって、利用したいときに利用できない」「支払(決済)先への変更手続きが面倒だ」といった理由が多い。情報漏えい事件などが起こると、そのときは利用を控えたりするが、結局は便利に使ってしまうようだ。
あるカード関係者は「カード会社の補償サービスが充実していて、利用者が安心しきっている」ことが、差し替えが進まない原因とみている。