自衛隊誘致が争点となっていた日本最西端の沖縄県・与那国島の町長に、誘致派の現職が当選した。誘致へ前進したかのようにも見えるが、反対派も少なくなく、簡単には決着がつきそうにない。
安全確保、地域活性化の観点から要請
誘致派と反対派の垂れ幕が並ぶ (与那国島 09年7月撮影)
2009年8月2日、任期満了に伴う同町長選の投開票が行われ、現職・外間守吉(ほかま しゅきち)氏(59)が、反対派の元町職員、田里千代基(たさと ちよき)氏(51)を破って再選された。
与那国島は沖縄本島から西に約500キロに位置する人口約1600人の島。台湾まで約110キロで、中国と領有権を巡って対立している尖閣諸島もすぐ近くにある。
自衛隊誘致に関しては、町議会が08年9月に誘致要請する決議を賛成多数で可決。09年6月30日に、町長の外間氏が与那国島に自衛隊を配備するよう直接防衛省に要請していた。
要請書では、与那国島が台風の通過地域であり、大規模災害発生の危険があると指摘している。また、尖閣諸島や東シナ海の資源開発に関して「周辺諸国の動向も憂慮している」として、住民の安全確保や地域活性化促進の観点から自衛隊駐屯の必要性を訴えていた。その際、有権者数の半数近くになる地元有志の署名も提出している。
これを受けて7月8日、浜田防衛相が与那国島を訪問。外間氏と会談し、自衛隊配備について省内で検討する旨を伝えていた。
任期満了に伴う今回の町長選では、3月に外間氏が出馬を表明したあと、対立候補が出ず、無投票で再任される可能性が強まっていた。しかし、7月9日、田里氏が立候補表明した。田里氏は元町職員で台湾との交流事業に携わってきたことから、自衛隊誘致に反対という立場だ。