吉本興業非上場化を検討 民放巻き込みは無理

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「出資要請があったとしても、とても受けられる状況ではない」

   当初、吉本興業は非上場化に向け、経営陣による企業買収(MBO)を検討した。在京キー局や在阪の準キー局など民放から出資を仰いでファンドを作り、主力取引銀行の三井住友銀行の融資と合わせて発行済み株式を買い取る構想だった。この構想は一部の全国紙などで報道されたが、関係者によると、「吉本内部で検討されたのは事実だが、資金の目途がたたず、事実上、立ち消えとなった」という。在阪の複数の民放は「吉本興業から出資の打診など聞いていない。要請があったとしても、とても受けられる状況ではない」と漏らしている。

   吉本興業としては、「お笑い」という自らのコンテンツを武器に民放各社と親密な関係を築きたかったようだが、景気後退で赤字決算に陥った民放に資金的余裕がないのは事実だ。

   吉本興業は「MBO検討」の一部報道を否定しながらも、「当社は買収を含む資本提携等のご提案を多々受けている」とコメント。MBOは断念したものの、TOBなどの手法で非上場を狙う考えを暗に認めた。しかし、民放はもちろん、三井住友銀行など取引銀行も非上場後の新たなビジネスモデルが描けないとして、融資には慎重姿勢をとり続けている。このため吉本経営陣の願望とは裏腹に、非上場化がスムーズに進むとは考えにくいのが現実だ。

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