「ガンダムファンは本当にいい人たちばかり」
「落札してよかった」。美濃部さんがそう感じたことは沢山ある。ガンダムファンの暖かな気持ちにたくさん触れることができたことだ。初めは嫉妬されるのではないかという不安もあったが、お祝いや激励のメール・電話がいっぱい来ただけでなく、美濃部さんが開設しているブログのコメント欄にも「落札者があなたのような方で嬉しい」などの書き込みが殺到した。
撮影当日はクレーンで18メートルある「ガンダム」の肩の高さまで登った。下で見ている観客の中に「ガンダム」の人気キャラ「シャア」のコスプレーヤーがいて、美濃部さんにずっと敬礼をし続けていた。
「ガンダムファンは本当にいい人たちばかり」
ということを改めて感じた。この日は高校時代の友人も駆けつけた。撮影が終了した後は、お台場のレストランで久しぶりの「同級会」も開くことができた。
美濃部さんはこの日の「ガンダム」の肩から撮影した写真をブログで公開している。自分の感動をファンのみんなにも伝えたいという気持ちからだ。実は、今回の落札と撮影イベントに関し、自分の本名や素性を隠すこともできた。あえて公開したのにはファンゆえの理由があるのだという。「ガンダム」の熱狂的ファンを「ガンオタ」(ガンダムオタク)と呼び、変人扱いする人もいるが、本名や素性を公開することで、自分のような人間もガンダムファンに多いことを知って欲しかったのだそうだ。
「オタクの世界だと誤解して敬遠する人もいるようですが、一般の方が見ても本当に素晴らしいアニメです。私が落札し、こうして人前に出たことをきっかけに、もっと沢山の人にガンダムを知ってもらいたいと思っているんです」