いいところと、そうでないところに2極化
もっとも、日本地ビール協会の会長・小田良司さんによると、地ビール人気はここ10年続いており、20代~30代・40代が支えているという。地ビールの楽しみ方は、居酒屋で一口目に飲む1杯とは違う。
「地ビールは、それぞれの香りが全然違うのが特徴です。たとえるなら、ワインの香りが一つ一つ違い、それを楽しむようなものでしょうか。地ビールファンにとっては、多数の地ビールの中から、自らの気に入るものを探し出すのが醍醐味です」
実際、地ビールや世界各国のビールを集めるイベント「ジャパン・ビアフェスティバル」は1998年の開催当初は800人の集客しかなかったのが、今では2万人近くが詰めかける一大イベントとなっている。地ビールメーカーは、こうした固定ファンにも支えられている。前出の東日本沢内総合開発も「国産のメーカーがちょっとずつ支持されているように感じています。価格がちょっぴり高くても、味が確か、美味しいと選ばれているようです」と話す。
ただし、地ビールメーカーすべてが好調というわけではないようだ。「三次ベッケンビール」の製造・販売で知られる、広島県三次(みよし)市の地ビールメーカー・三次麦酒は2009年7月12日、休業を発表した。
前出の日本地ビール協会・小田さんによると、三次麦酒の場合、併設するレストラン経営が悪化した例外的なケースだとしながらも、「地ビールメーカーは2極化している」とも指摘する。顧客がつき始めているメーカーはいち早くネット販売などにも力を入れて売り上げを伸ばしている一方、そうした取り組みから乗り遅れた製造元の中には、売り上げを伸ばせずにいるところもある、と指摘している。