返済を一定期間肩代わり 失業補償付き住宅ローンに注目 

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   住宅ローンの返済中に勤務先が倒産したり、リストラで退職させられたりしたら――。こうしたローン返済の不安に、返済を一定期間肩代わりする失業補償付き住宅ローンの取り扱いが地方銀行などで広がりつつある。景気悪化で雇用不安が広がるなかで、銀行は「安心」を提供して、住宅ローンを伸ばしたい考えだ。

リーマンショック後「かなり伸びた」

   愛媛銀行が取り扱っている失業補償付き住宅ローンは、20歳以上45歳以下が対象。失業保険の保険料を銀行が負担することもあって、2009年2月の発売開始以降、対象となる利用者の住宅ローンには100%付けられている。

   利用者にとってマイホームは一生に一度の大きな買い物。同行は「雇用情勢はよくないが、不安を取り除くことで支援できるのであれば、そうしたい。地域金融機関として、頼れるところをみせたい」と話す。

   SBIモーゲージは、08年12月から失業補償付き住宅ローン「三ツ星くん」の取り扱いを開始。自社のマイホームローンのほか、住宅金融支援機構の「フラット35」の利用者も使えるようにした。同社は、「発売直後はリーマンショックもあってかなり伸びた」という。

   群馬銀行の住宅ローンも、20歳以上65歳未満を対象に「失業保険」が自動的に付いてくる。05年6月から取り扱っていて、保険料は、銀行負担。万一失業した場合には、1回の失業で最長6か月(通算3年)の返済を肩代わりする。

   宮城県仙台市に本店を置く七十七銀行は、04年7月から販売。20歳以上70歳以下を対象とし、利用者とは特約を結ぶ。保険料は利用者負担で、住宅ローン金利に0.2%を上乗せするかたちで取り組んでいる。

   これらの失業補償付き住宅ローンのいずれも、「失業保険」を請け負っているのはBNPパリバ・グループのカーディフ損害保険。地方銀行を中心に、現在22の金融機関と提携している。

   同社は「契約が急激に増えたということはないですが、問い合わせはあります」と、銀行の関心の高さをうかがわせている。

保険金で支援している間に次の就職先を見つけてもらう

   地方銀行が失業補償付き住宅ローンを取り扱う背景には、他行との差別化がある。最近は政府の住宅ローン減税などの効果もあって、住宅市場もやや上向いてきたことから、獲得競争が熾烈になっている。がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3大疾病保障付きなど、「保険」が付いた住宅ローンは「安心感が得られる」と利用者に人気で、失業補償付きもその一つとして、バリエーションを増やす狙いがある。

   また、銀行にとっては「リスク回避のようなもの」(地銀関係者)。失業後の延滞を回避して、保険金で支援している間に次の就職先を見つけてもらう。

   群馬銀行の住宅ローン残高は09年3月末で1兆1709億円となり、前年同月と比べて10.6%増と伸ばした。その一方で、実際に「失業保険」を利用した人は08年の1年間は10数件だったが、09年4-6月期にはすでに08年度を上回った。「それだけ景気悪化の影響が大きいということ」(広報室)と話している。

   ただ、こうした失業保険の利用は、銀行にとって「一時しのぎ」にしかならない。失業が長期化すれば、いずれ延滞が始まり不良債権化する。利用した人はいわば、不良債権の「予備軍」だ。

   地銀にとって住宅ローンはいまや数少ない収益源だから、それでも残高を伸ばしていく必要がある。

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