保険金で支援している間に次の就職先を見つけてもらう
地方銀行が失業補償付き住宅ローンを取り扱う背景には、他行との差別化がある。最近は政府の住宅ローン減税などの効果もあって、住宅市場もやや上向いてきたことから、獲得競争が熾烈になっている。がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3大疾病保障付きなど、「保険」が付いた住宅ローンは「安心感が得られる」と利用者に人気で、失業補償付きもその一つとして、バリエーションを増やす狙いがある。
また、銀行にとっては「リスク回避のようなもの」(地銀関係者)。失業後の延滞を回避して、保険金で支援している間に次の就職先を見つけてもらう。
群馬銀行の住宅ローン残高は09年3月末で1兆1709億円となり、前年同月と比べて10.6%増と伸ばした。その一方で、実際に「失業保険」を利用した人は08年の1年間は10数件だったが、09年4-6月期にはすでに08年度を上回った。「それだけ景気悪化の影響が大きいということ」(広報室)と話している。
ただ、こうした失業保険の利用は、銀行にとって「一時しのぎ」にしかならない。失業が長期化すれば、いずれ延滞が始まり不良債権化する。利用した人はいわば、不良債権の「予備軍」だ。
地銀にとって住宅ローンはいまや数少ない収益源だから、それでも残高を伸ばしていく必要がある。