日照不足と長雨の影響で野菜の卸売価格が高騰している。じゃがいもは前年の6割高、にんじん、たまねぎも大幅に値上がりし、スーパーマーケットの販売価格も上がり始めた。8月に出荷シーズンを迎える北海道は7月中旬以降、長雨と低温が続き、被害が深刻で、食卓にも相当な影響が出そうだ。
北日本は日照不足、西日本は大雨
全国の主要19卸売市場の卸売価格をまとめた青果物流通統計旬報(農林水産省)によると、2009年7月中旬はだいこんが26%、にんじん32%、きゅうり30%、じゃがいも60%、たまねぎ47%、前年同期をそれぞれ上回った。ほかにも、はくさい、ほうれんそう、ねぎ、なす、トマト、さといもなどが値上がりしている。
高騰の原因は、日照不足と長雨が続いていること。6月に北日本を中心に日照不足が続いていたが、7月に入り全国に広がっている。西日本では大雨が続き、農作物に被害が出た。
国内最大の青果市場、大田市場(東京都大田区)の7月17~23日の卸売価格は、北海道産だいこんが53%、青森産にんじんが102%と2倍、茨城産ねぎが132%、福島産きゅうりが63%、青森産トマトが57%、福島産いんげんが100%、群馬産枝豆が53%、それぞれ前年同期より値上がりした。
大田市場に本拠を置く青果卸売会社、東京青果の担当者は、こう話す。
「じゃがいも、にんじん、たまねぎが上がっています。7月には西日本、北日本産が例年、入ってくるのですが、09年は数が少ない。加えて8月に本格的に入ってくる北海道産も出足が悪いのです。ただ、キャベツやレタスのように値下がりしている野菜もあります。高騰といっても、野菜全体では08年に比べて5~6%ほどしか上がっていなく、大騒ぎするほどではないと思います」
北海道「雨で畑がぐちゃぐちゃに」
とはいうものの、値上がり幅の大きい野菜は店頭価格が上がり始めている。
関東、関西を中心に展開しているスーパーマーケットの青果物担当者は、
「じゃがいもとたまねぎの仕入れ値が前年の3割ほど上がっています。にんじんはこれから高くなりそうです」
とみている。
このスーパーでは袋詰めの野菜は量を減らして、据え置き価格で販売する。しかし、バラ売りの野菜はそうはいかないので、1個29円を39円にしている。
野菜はさらに高くなるのだろうか。
その鍵を握っているのが、8月に出荷シーズンを迎える北海道。ところが7月中旬以降は長雨、低温が続いていて、産地には異変が起きている。
北海道農産新興課は、
「7月の降水量が例年の3倍で、畑がぐちゃぐちゃになっています。機械が入れずに収穫が遅れ、作物が腐ってしまったり、病気になったりしています。じゃがいもは8月下旬から出荷シーズンを迎えます。早く天気が回復してくれることを祈るだけです」
といっている。