アリコ「説明責任」のお粗末 照会から2週間会見開かず

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   生命保険大手のアリコジャパンは2009年7月30日、クレジットカード会社から不正使用の疑いがあるとして照会された件数が増え、29日時点で約2700件になったと発表した。通信販売で成長してきたアリコだが、不正使用はカード払いができる通販利用者で占められており、情報管理の不備の露呈がアリコの経営に打撃を及ぼすのは必至だ。

調査の途中経過でも説明に努めるのが通常

   アリコが情報流出を発表したのは2009年7月23日だが、この日は午後3時に日銀記者クラブにプレスリリースの紙1枚を投函しただけ。しかもリリースには流出の規模や不正使用の件数は記載されておらず、広報担当者が口頭で簡単に説明するにとどめた。

   記者クラブ側は記者会見を求めたが、アリコは「現段階ではリリース以上に詳しい内容が分からない。まとまった段階で会見する」と応じなかった。27日にようやく記者会見を開いたが、カード会社からアリコに最初の不正使用の照会があった14日からは約2週間も経過していた。顧客に大きな影響がある問題が発覚した場合、当該企業は即座に記者会見を開いて、調査の途中経過でも説明に努めるのが通常だけに、「顧客への説明責任を果たしていない」と疑問の声が上がった。

   もっとも、こうした「顧客軽視」とも受け取られかねない対応が情報流出を招く体質の温床となったかどうかは断定できない。アリコは、内部からの情報持ち出しと外部からの顧客情報システムへの不正アクセスの両面で流出経路を調べているが、いずれにせよ、顧客情報の管理という経営の根幹にかかわる点で甘さがあったことは否めない。

   米AIG傘下のアリコは1973年に外資系生保として日本で初めて営業を開始し、通販の草分け的存在。テレビコマーシャルや新聞広告で宣伝し、電話やインターネットで加入を受け付け、保険料はカードで支払える。営業職員主体の国内生保に比べて、人件費が抑えられ、格安の保険料や手軽さを売り物に業績を伸ばし、保険料等収入は日本生命など国内大手4社に次ぐ規模に成長した。

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