「空き家バンク」で橋渡し 空き家率全国一山梨県の試み

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   全国で空き家率が最も高い山梨県の自治体が、その空き家を有効活用しようと「空き家バンク」の取り組みを進めている。山梨県では高齢化や過疎化などの影響で空き家が増えているが、一方でスローライフを求める人や、退職後は地方で暮らしたいという人は少なくない。県内の自治体が住まいを「橋渡し」することで「移住者」を増やして地域を活性化したいというのだ。

高齢化や過疎化が進んでいる影響もありそう

   総務省が2009年7月28日に発表した「2008年の住宅・土地統計調査(速報)」によると、08年10月1日現在の住宅の全国総数は5759万戸。このうち、空き家の割合は13.1%を占め、前回調査(03年)を0.9ポイント上回って、過去最高を更新した。総務省は「世帯数よりも住宅戸数の増え方が大きいので、その分空き家になっている」とみている。

   空き家率の高い都道府県は、山梨県が20.2%と最も高く、第2位が長野県の19.0%。和歌山県17.9%、高知県16.5%、香川県16.0%と続く。

   山梨県の空き家率は、全国平均を7.1ポイントも上回る。20%を超えたのは全国でも初めてだ。県内の住宅総数は39万7700戸で、空き家は8万400戸を数える。空き家は前回調査より6800戸、9.2%増加し、空き家率は0.8ポイント上昇した。

   山梨県は「空き家とみなされる別荘が多いことが、空き家率が高い要因」(観光部)と説明する。たしかに、県内は富士山麓や八ヶ岳などの別荘地を抱えていて、別荘が1万4000戸、2次的住宅(週末を過ごすための住宅など)1万6200戸ある。しかし、これらは前回調査から減っており、必ずしも別荘の多さが要因とは言えなくなってきた。「最近は高齢化や過疎化が進んでいるので、その影響もありそう」と、総務省の調査結果を踏まえ、これから精査していくという。

希望者826人が登録、成約実績71件

   そんな山梨県で、空き家を減らそうと「空き家バンク」の取り組みが進められている。全国でもめずらしく、東京都をはじめ他県からの「移住」を希望する人に、自治体が住まいに関する情報を提供する試み。2006年6月の富士河口湖町を皮切りに、甲府市や韮崎市、北杜市、南アルプス市など7市3町に広がっていて、移住者を増やして地域の活性化を図ろうという取り組みだ。

   「空き家バンク」制度は、自治体が空き家情報を収集。現地を確認するとともに、所有者をさがして賃貸・売却の意向を聴取し、空き家を提供してもらう。一方、物件を借りたい人、買いたい人は各自治体の窓口やホームページ、東京・八重洲の「富士の国 やまなし館」で、自治体が登録した空き家情報を入手できる。希望の物件があれば申し込みを行い、その後に賃貸や売却交渉に入る仕組み。さらに、北杜市や山梨市、南アルプス市などは利用希望者登録を済ませた人を対象に、「空き家見学会」を実施、現地を案内してくれる。

   2009年5月31日現在、「空き家バンク」への問い合わせ件数は累計で3609件。登録されている空き家は延べ179件で、物件の利用を希望する登録者は826人いる。現地案内の件数は延べ576件で、そのほとんどが東京などの首都圏に住んでいる人だ。

   山梨県は、「いますぐでなくても、退職後に住みたいというのでもかまわないですが、基本的に移住を希望する人であってほしいですね」と話す。

   空き家なので、実際に住むとなると住宅に手を入れる必要があるし、移住、定住となると仕事のことや生活利便、近所付き合いなどで不安になることも多い。「自治体によってはそんな相談にも応じています。橋渡しによって、空き家が減って地域が活性化してくれればいい」。成約実績はこれまで、71件ある。

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