希望者826人が登録、成約実績71件
そんな山梨県で、空き家を減らそうと「空き家バンク」の取り組みが進められている。全国でもめずらしく、東京都をはじめ他県からの「移住」を希望する人に、自治体が住まいに関する情報を提供する試み。2006年6月の富士河口湖町を皮切りに、甲府市や韮崎市、北杜市、南アルプス市など7市3町に広がっていて、移住者を増やして地域の活性化を図ろうという取り組みだ。
「空き家バンク」制度は、自治体が空き家情報を収集。現地を確認するとともに、所有者をさがして賃貸・売却の意向を聴取し、空き家を提供してもらう。一方、物件を借りたい人、買いたい人は各自治体の窓口やホームページ、東京・八重洲の「富士の国 やまなし館」で、自治体が登録した空き家情報を入手できる。希望の物件があれば申し込みを行い、その後に賃貸や売却交渉に入る仕組み。さらに、北杜市や山梨市、南アルプス市などは利用希望者登録を済ませた人を対象に、「空き家見学会」を実施、現地を案内してくれる。
2009年5月31日現在、「空き家バンク」への問い合わせ件数は累計で3609件。登録されている空き家は延べ179件で、物件の利用を希望する登録者は826人いる。現地案内の件数は延べ576件で、そのほとんどが東京などの首都圏に住んでいる人だ。
山梨県は、「いますぐでなくても、退職後に住みたいというのでもかまわないですが、基本的に移住を希望する人であってほしいですね」と話す。
空き家なので、実際に住むとなると住宅に手を入れる必要があるし、移住、定住となると仕事のことや生活利便、近所付き合いなどで不安になることも多い。「自治体によってはそんな相談にも応じています。橋渡しによって、空き家が減って地域が活性化してくれればいい」。成約実績はこれまで、71件ある。