費用負担が絡む難しい話し合いになる
特に、最大の課題とされているのは、地方よりも都市部の共聴施設(共同受信設備)で受信している世帯への普及。共聴施設を利用しているのは、集合住宅約200万施設(1900万世帯)やビル陰などの難視聴世帯約606万世帯で、総数は全世帯の3分の1にもなる。
うち地デジ対応率は、今年3月の総務省のサンプル調査によると、集合住宅の7割、難視聴世帯では2割にとどまる。とりわけ関東、近畿の都市部の対応率が低い。マンションの管理組合内の合意形成や、原因となる高層ビル側との協議など、費用負担が絡む難しい話し合いが当事者に任されているからだ。このまま対応が遅れれば、停波直前にアンテナの取り換えや屋内配線工事などが集中し、工事待ちで間に合わないことも予想される。
これからの2年間、個別訪問、地域単位の集会など、「どぶ板選挙」なみのきめ細かい啓発や当事者間の調整が欠かせない。地デジは国策。稼働を始めた総務省テレビ受信者支援センター(デジサポ)がそこまでやりきれるかがポイントだ。