日銀が資金繰り支援延長 「異例の政策」いつまで続くのか

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   日銀は社債やCP(コマーシャルペーパー)の買い取りなど、2009年9月末までとしていた企業の資金繰りを支援する措置の期限を12月末まで延長することを決めた。企業の資金調達は改善傾向にあるが、景気や市場の先行き不透明感は払拭できず、中央銀行が社債やCPの損失リスクを引き受ける「異例の政策」の継続を余儀なくされた。金融政策を平時に戻す「出口戦略」を具体化できるのは、まだ先のようだ。

応募額が買い取り予定額に満たない

   2008年秋以降の金融危機で社債・CPの発行が激減し、企業の資金繰りがひっ迫した。日銀は年明けから社債・CPの買い取りに乗り出し、マヒ状態に陥った市場機能を肩代わりしてきた。だが、市場は今春以降落ち着きを取り戻し、資金調達環境も改善した。6月は社債の発行額が過去最大に達し、日銀が社債やCPを買い取る入札でも応募額が買い取り予定額に満たない「札割れ」が続いている。

   社債やCPの買い取りは、発行企業が破綻した場合、日銀が損失をかぶり、中央銀行の信認を低下させかねない。日銀内部でも「景気が回復すれば、異例の措置をどのように解除するかを検討する必要が生じうる」(ある審議委員)との意見が出ており、資金繰り支援策の期限の9月末を控え、解除や縮小など「出口」に踏み出すかが焦点となっていた。

   だが、信用力の低い大企業や中小企業の社債発行は依然厳しく、資金繰りは「二極化」している。日銀は足元の景気判断を3カ月連続で上方修正したが、企業金融は「全体として、なお厳しい」と懸念を表明。景気の先行きも「下振れリスクが高い」と警戒感を維持し、日銀の白川方明総裁は「景気回復の足取りは不確実な面が大きく、企業は今後の資金調達環境に不安感を払しょくできずにいる」と資金繰り支援策延長の理由を説明した。

「政治への配慮ではないか」との憶測

   もっとも延長は8月までに決めれば、9月末の期限切れに間に合うのに、早々と7月に決めたのは「政治への配慮ではないか」との憶測も出ている。麻生太郎首相が衆院解散・総選挙を表明した直後だけに、「政治家が意識する地元企業の資金繰りに支障を及ぼすような支援策解除には踏み切れなかった」(市場関係者)との見方だ。

   白川総裁は「企業金融が厳しいと判断している以上、対応は早めに出したほうが良い」と政治との関係を否定した。だが、延長決定の直前に与謝野馨財務相が「使われなくても、窓口は開けておいていいんじゃないか」と延長への期待感を表明するなど解除に踏み出しにくい雰囲気となっていたことは否めない。

   白川総裁は「(出口戦略は)どの中央銀行も常に意識している」と述べ、景気や市場の動向を見極め、年末に「出口」を探る意向を示唆した。延長幅が3カ月と市場関係者の多くが予想した6カ月より短く、「出口への意欲をにじませた」との観測も出ているが、政権交代も視野に入った政治との絡みなどハードルはまだ色々とありそうだ。

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