「政治への配慮ではないか」との憶測
もっとも延長は8月までに決めれば、9月末の期限切れに間に合うのに、早々と7月に決めたのは「政治への配慮ではないか」との憶測も出ている。麻生太郎首相が衆院解散・総選挙を表明した直後だけに、「政治家が意識する地元企業の資金繰りに支障を及ぼすような支援策解除には踏み切れなかった」(市場関係者)との見方だ。
白川総裁は「企業金融が厳しいと判断している以上、対応は早めに出したほうが良い」と政治との関係を否定した。だが、延長決定の直前に与謝野馨財務相が「使われなくても、窓口は開けておいていいんじゃないか」と延長への期待感を表明するなど解除に踏み出しにくい雰囲気となっていたことは否めない。
白川総裁は「(出口戦略は)どの中央銀行も常に意識している」と述べ、景気や市場の動向を見極め、年末に「出口」を探る意向を示唆した。延長幅が3カ月と市場関係者の多くが予想した6カ月より短く、「出口への意欲をにじませた」との観測も出ているが、政権交代も視野に入った政治との絡みなどハードルはまだ色々とありそうだ。