消費税引き上げに海賊法案 民主党は「ぶれた」のか

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   衆院選で政権を獲得することが有力視されている民主党の政権公約(マニフェスト)が発表された。当初は党本部で予定されていた発表会が、より広い会場に変更されるなど、注目度は非常に高い。ところが、消費税引き上げやインド洋への自衛隊の派遣について、「民主は容認方向に転じている」との声が根強く、与党に「民主党はぶれた」との批判材料を与えた格好だ。

「4年間、議論さえするなというのは間違い」

   民主党の政策をめぐっては、従来は海上自衛隊によるインド洋での給油活動について反対の立場を示していたほか、消費税引き上げについても、鳩山由紀夫代表が代表選挙で「4年間は議論しない」と明言。一応、自民党との違いは明らかになっていた。ところが、政権政党へのプレッシャーのせいなのか、この違いが無くなりつつある様子なのだ。

   この傾向が顕著に表れたのが、2009年7月26日放送のテレビ朝日系の番組「サンデー・プロジェクト」だ。番組では、自民・民主両党で、一番経済政策に詳しいとされる与謝野馨・財務・金融相と、元蔵相の藤井裕久・民主党最高顧問が、経済政策についての議論を戦わせた。特に議論になったのが消費税の税率引き上げ問題。

   司会の田原総一朗氏が

「藤井さんは消費税引き上げをやらないといけないことはわかっている」

と水を向けると、

「当たり前ですよ。昭和20年から日本を立て直してきた人は、後期高齢者だけじゃなくて、団塊世代の人なんです。この人の第2の人生がまともじゃなきゃいけない。そのために、現役だけから(年金の財源)負担を求めるのはだめだ。広く薄くなんです」
「消費税は基幹税といこうことは、はっきり言っています。(民主党の政権獲得後)4年間、議論さえするなというのは間違い」

と、将来的な消費税の引き上げに前向きな考えを示した。藤井氏は、次期総選挙には立候補しない意向を示しているものの、田原氏から「官邸でやる(入閣する)覚悟があるのか」と聞かれると、

「私は自由人になっても生涯民主党」

と回答。今後も民主党の経済・財政政策に大きな影響力を持ち続ける可能性がきわめて高い上、岡田克也幹事長も7月26日に

   「経済状況がこれだけ厳しい中で引き上げの議論をすべきではないが、4年間議論すべきではないということではない」と発言。民主党としては事実上の軌道修正をしたとも取れる形だ。

   ところが、7月27日に行われたマニフェスト発表会見の場では、鳩山由紀夫代表が

「当面の間は5%で十分にまかなえるという試算が出ている。改めて、4年間は増税の議論をする必要はないということは申し上げておく」

と発言。前出の藤井氏や岡田氏の発言について改めて質されても、

「4年間増税の議論は必要ない、と申し上げたのは、我々として4年間増税は考えていないからだ。その間に(引き上げの)議論を行うことになると、官僚が抵抗するであろう無駄遣いの排除について(議論の)矛先が替わってしまう可能性がある」

と、改めて「4年は議論しない」という考えを示した。「軌道修正」とも「党内不一致」とれる状況だと言えそうだ。

海賊対策についても、マニフェストでは容認する方向

   軌道修正が目立つのは、消費税問題だけではない。民主党が法案成立に反対してきた海賊対策についても、マニフェストでは容認する方向性が打ち出された。会見でも、直嶋正行政調会長が

「基本的には海上保安庁が実施するが、状況によって自衛隊の派遣が必要。PKOには出来る限り協力していくべき」

と、改めて派遣は必要との考えを示した。

   海賊対処法案をめぐる民主党の対応については、麻生首相が7月23日に「『ぶれた』ってのはそういうことじゃないのか」と批判したばかり。消費税引き上げ問題での対応の変化についても、与党からの批判が加速する可能性もありそうだ。

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