回転率を上げて、収益の確保を見込める
このような低価格帯の居酒屋の出店が相次いでいる状況について、船井総合研究所の経営支援部フードビジネスグループ・チーフコンサルタントの二杉明宏さんは、次のように話す。
「これまで居酒屋の客単価は3000~3500円と比較的高単価でした。が、居酒屋の苦戦が続く中、単価の安い店に流れているのは顕著でした。三光マーケティングフーズが、低単価帯の品を集めた居酒屋『金の蔵Jr.』の出店が相次いだのは象徴的。同社は高価格帯の店舗も抱えていますから、そちらより、低価格路線を優先した事情が伺えます」
二杉さんによると、一品300円前後の商品を並べた場合、客単価は2000円前後となる。しかし、回転率を上げることができるため、収益の確保を見込めるというわけだ。二杉さんは今後、居酒屋のこうした低価格路線の業態は増えるとみている。もっとも、「安くて、きちんと利益の出る構造を作ることが大事。原価の安い食材やメニュー作りが鍵になるでしょう」と指摘している。
ちなみに、東京・銀座では20~40代のサラリーマンやOL、学生が足繁く通う低価格バーも人気を集めている。「銀座300バー」もその一つだ。店内のメニューがやはり全品315円で、チャージ料金もかからない。お酒の種類は150~200点、フードメニューも50品目と品揃えが豊富。
ゼネラルマネージャーの川幡雄一郎さんによると、中には1人でふらりと来る人もいるとか。最近ではクチコミでの評判もあり、2店舗合計でひと月に8000人は訪れるそうだ。