関西では私鉄とJRは熾烈なライバル関係
井手氏がJR西日本の効率化を図り、利益を追求したのには理由がある。関西は「私鉄王国」とされ、私鉄とJRがほぼ平行して走るなど、首都圏では想像がつかない熾烈なライバル関係にある。ライバルとの競争に勝つにはスピードアップが必要で、京阪神近郊区間の「アーバンネットワーク」と呼ばれる路線の高速化を進めた。
福知山線も東西線との接続のため、線路を付け替えた結果、事故の起きた急カーブが生まれた。ライバルとの競争に勝つため、高速化のうえ電車の本数を増やし、危険は予測できたはずなのに、自動列車停止装置(ATS)を敷設しなかったことが問題となった。
神戸地検は今回、事故現場を現在の急カーブに付け替えた当時、安全対策を統括する常務鉄道本部長だった山崎社長を業務上過失致死傷罪で在宅起訴。井手元相談役ら社長経験者3人も遺族に告訴されていたが、「予見可能性がなかった」として不起訴処分となった。