「宿泊施設が乏しく、インフラ整備が必要」
悪石島への日食ツアーを行ったのは、近畿日本ツーリストだけ。そこで、同社の広報担当者に聞くと、参加者からは苦情などは聞いていないという。ヤフー知恵袋の質問については、「書き込んだ人は分かりませんが、もしお話があった場合は対応します」と話す。
ツアーは、テントや体育館で泊まるなどの条件ながら、鹿児島・那覇発で34万円以上もする。このことについて、担当者は、「島には宿泊施設が乏しく、インフラを整備しなければなりません。貯水タンクや食事作りのシェフ、仮設シャワー、簡易トイレ、電気などを用意するのにお金がかかるということです」と説明する。つまり、こうしたコストが料金に上乗せされているから高くなるということだ。
悪天候が予想される場合の措置については、「代替も難しく、変更は現実的ではありません」とする。観測の代わりに別の楽しみを用意することも同様とし、「日食の瞬間に晴れ間が出るかもしれませんし、そうでなくても真っ暗になる体験ができます。観測は2、3時間だけで、ほかに交流会、島内観光なども用意しています」と言っている。
悪石島がある十島村の経済課によると、今回の日食は、村だけでは対応できないため、旅行会社に受け入れを依頼した。そして、企画コンペで大手5~6社の中から選んだ。同課の参事は、こう話す。
「悪天候による苦情などは、こちらでも聞いていません。ダイヤモンドリングなどが見られなかったのは残念でしたが、日食のときは急に暗くなり、歓声と拍手が沸き起こりました。雰囲気は体感できたのではと思っています。島では、交流会などで住民から温かく迎えられて感激したとの声が多かったと、複数の記者から聞きました。最後は、『ありがとう』と涙ぐんだり、手を振ったりする人もおられ、喜んで帰っていただけたと思っています」