トヨタの新型プリウスに注文が殺到している。最大25万円の「エコカー補助金」も人気を後押ししているが、売れすぎたゆえの問題も発生している。今から注文しても、補助金の対象期限までに納車が間に合わない可能性が出てきたのだ。
休日稼働しても間に合わない
2009年5月に発売された新型プリウスの売れ行きが好調だ。6月の販売台数は2万2000台で、低価格の軽自動車を抑えてランキング首位にたった。世界でも最高水準の燃費や、最も安いモデルの価格が従来モデルよりも約30万円下がったことが話題となり、5月に発売されて以来、約2か月で23万台以上を受注している。
だが7月17日、トヨタは同月15日以降に注文があった分について、工場出荷が3月下旬以降になる見通しだと発表した。当初想定していたよりも多くの注文があったためだ。現在国内2つの工場で、休日も稼働してフル生産体制をとり、月5万台のペースで生産しているが、それでも間に合わないという。
ここで1つの懸念が出ている。新型プリウスの後押しをしていたのが、政府が行ってきた補助金制度だ。政府は緊急経済対策として、09年4月10日から10年3月末までの期間に、一定の環境基準を満たしたエコカーを新車登録した人に対し、最大で25万円の補助金を交付している。工場出荷が遅れると期限に間に合わず、補助金を受けられない可能性があるのだ。
「困ってますね」
プリウスを販売する東京トヨペットの広報担当者はそう話す。顧客には補助金が受けられない可能性があることを説明しているが、それでもプリウスを欲しがる顧客は絶えない。
「今後は他の車種も提案しながら販売していこうと思います。補助金の対象となっているのはプリウスだけではございませんので」
と話している。
経済産業省「延長考えてない」
経済産業省はトヨタに対し、出荷が遅れている事態を解消するよう要請しているが、トヨタも急には生産ラインを増やせないのが現状だ。今後は政府に対して補助金対象期間の延長を求める声も上がりそうだが、同省担当者は
「今年度の予算の対象は、今年度に売買されたものに対して使われるというのが基本。延長は考えておりません。トヨタにはメーカーとしてきちんとした対応をしていただければと思います。これだけ多くの人を待たせているというのは異常です」
と話す。プリウス1車種の出荷が遅れているからといって、延長することはないとのことだ。ちなみに、8月の総選挙で政権交代を狙う民主党は、
「個別の件に関しては政権をとってから検討しますが、民主党はこれまでも低燃費の環境車への買い換えを促進してきたという経緯がありますので、そうしたスタンスでの対応になると思います」(民主党政策調査会)
と話している。