ユーチューブ「対抗馬」閉鎖へ 動画投稿サイト「ジリ貧」なのか

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ニコニコ動画もzoomeも「赤字体質」は変わらず

   国内に目を転じても、厳しい状況は変わらない。動画投稿サイト「eyeVio」(アイビオ)を07年4月から運営してきたソニーは09年6月、同サイトを他社に譲渡した。アイビオは、カメラやウォークマンなどソニー製品との連携機能や、ハイビジョン画質の動画が投稿できることが特徴だったが、広告収入が伸び悩んだことから、ソニーが運営を断念する形になった。

   国内最大手の「ニコニコ動画」も、苦しい台所事情は変わらない。同社の運営会社の親会社であるドワンゴが09年2月に発表した09年1月~3月の決算によると、ニコニコ動画が事業の大半を占めるポータル事業の売上高は前年同期比61.6%増の7億2200万円だったが、前年同期よりも19.1%多い4億1200万円の営業赤字を計上している。有料会員は順調に増加し、09年春時点で30万人を突破しているのだが、やはり前出のユーチューブと同じ構造で、赤字構造から脱却できていない。

   動画投稿サイトのM&Aも「道半ば」だ。アイティメデイアは08年10月に「zoome」(ズーミー)運営会社を買収。同社は、同時期に音楽情報サイト「BARKS」(バークス)の運営も譲り受けている。09年6月の有価証券報告書では、両サイトを抱える「ライフスタイル・メディア事業」について、「取得した両事業は現在投資フェーズにあり、営業損失が増加した」とある。同事業の08年度の売上高は前年比5.2%増の6億900万円だったものの、営業損益は6100万円の黒字から1億3500万円の赤字へと転落している。

   「総崩れ」とも言える状況だが、ITジャーナリストの井上トシユキさんは「特に日本では、CGM(利用者が作るコンテンツ)というものが行き詰まってきたのでは」と見る。

「日本の動画投稿サイトは、米国のように『自分で撮った、おバカな動画』といったものが少なくて、テレビ動画をクリップしたものや、企業や政党が作った動画の方が目に付きます。サイトの運営側も『著作権問題が面倒』と腰が引けていて、このままでは飽きられてしまうでしょう。新車やゲームなどの企業とタイアップして、動画の特性を生かした大型キャンペーンを展開するなどの利用者にリーチしていく方策を考えないと、今後は厳しいのではないでしょうか」
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