2009年7月19日、モナコで行われていたバックギャモン世界選手権で、望月正行さんが優勝した。同大会で日本人が優勝するのは初めて。望月さんはプロになるために早稲田大学を中退したという異色の経歴を持つ。日本では2人しかいないプロ選手のうちの1人だ。
ディカプリオも愛好、世界プレイ人口3億人
バックギャモンは「西洋すごろく」とも呼ばれるボードゲームで、海外ではチェスよりも人気が高いという。古代エジプトに起源を持ち、ローマ時代に完成。欧米や中東諸国で人気が高い。世界のプレイ人口はチェスをも凌ぐ3億人と言われ、ブルース・ウィリス、レオナルド・ディカプリオも愛好者として知られている。
15個の駒を、2個のサイコロの目に従ってゴールを目指すというのが基本的なルール。相手の駒がいるマスに自分の駒を進めると振り出しに戻すことができ、互いに一進一退しながらゴールの早さを競う。戦略性だけでなく運の要素を持ち合わせているのが特徴だ。
望月さんが優勝したのは、毎年7月第2週にモナコ・モンテカルロ市で開催されるバックギャモンの世界選手権。19日の決勝戦で大会2連覇を狙うデンマークの選手を下して優勝した。試合の様子はネットでストリーミング中継され、1200名以上が登録しているmixiのバックギャモンコミュニティでは
「もっちくん優勝おめでと!!かっこ良すぎる」
「驚きました。素晴らしい」
といったコメントが多数寄せられた。日本バックギャモン協会によると、優勝賞金は6万2000ユーロだという。
日本では2人しかいないプロ選手の1人
協会によると、同大会でアジア人選手が優勝するのは初めて。日本の競技人口は10万人ほどと言われ、90年代初頭ごろから毎年20名ほどが参加している。初級クラス、中級クラスなどでは好成績を出しているが、望月さんが優勝したチャンピオンシップでは中々勝てなかった。
望月さんは1979年生まれの30歳。日本では2人しかいないプロ選手の1人だ。高校時代は将棋部に所属し、プロになるために早稲田大学を中退した。バックギャモンの強豪、アメリカやデンマークで武者修行をし、海外の著名な大会での優勝経験も豊富だ。「mochy(モッチー)」の愛称で呼ばれ、現在世界ランクは6位。
「望月の強さは、ゲームの奥にある真理を目指しているところにあります」
優勝の瞬間、会場にいた協会代表の下平憲治さんはそう話す。望月さんは勝ち負けよりも「いい試合をしたい」というストイックな気持ちで戦っており、試合中も冷静。大一番に強く、危ないシーンもしっかりこなすという。また、海外遠征経験豊富で世界的プレイヤーにも知り合いが多く、会場でも望月さんを応援する声が多かったとのことだ。
望月さんはプロ選手として活躍する傍ら、母校の麻布高校のバックギャモン部で後輩の指導も行っており、下平さんも
「今回の望月の優勝をきっかけに、若い人にも積極的に世界を目指してプレイしてもらえばと思います」
と話している。