昔より今の35歳のほうが妊娠しにくい?
「不妊ルーム」を開設しているこまえクリニック(東京都狛江市)の放生勲院長は、
「結婚適齢期が無くなったけど、妊娠適齢期は動いていない」
と指摘する。
「見た目は昔の女性より若くなっていても、卵子のエイジング(老化)は昔よりも進んでいるかもしれません。若いうちから子どもをたくさん産んでいる女性は、年をとっても『産める体』のことも多いのです。ところが晩婚化で、今の35歳のほうが妊娠しにくいとも考えられます」
さらに、出産時にもいろんな問題が起こりやすくなる。早産や流産、母体へのリスクも高まる。
しかし、妊娠のしにくさと比べれば、出産のリスクは「小さいほう」と前出の徐クリニック、徐院長はいう。
「30歳代半ばになって妊娠しようとするから不妊になるんです。この10年で医療が進歩し、ずいぶん改善されてきたが、それでも限界はあります。子どもが欲しい人は妊娠を先延ばしにするなんていう考えは、捨てた方がいい」
と忠告している。
厚生労働省「2007年人口動態調査」によると、第1子を出産した時の母親の年齢が35~39歳だった人は、07年が5万9665人(06年5万4368人)、40~44歳は8101人(7071人)、45歳以上は213人(164人)だった。
一方で、20~24歳は07年が8万6291人(06年8万9323人)、25~29歳は18万4129人(19万805人)、30~34歳は16万7702人(16万8560人)で、20歳から30歳代前半では減少傾向にある。