アイドル表紙の文庫続々 若者の「本離れ」食い止められるのか

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文字を大きくし、行間を広めにして、読みやすくした

   ぶんか社文庫では、文字を大きくし、行間を広めにして、読みやすくもした。初版はどれも、小川将司さんが「大きく勝負した」という1万5000部。売れ行きは順調といい、生誕100年の太宰ブームもあって、「人間失格」は、わずか2週間で重版がかかった。

   1冊500円弱と文庫では若干高め。「アイドルの写真を使ったり、紙を変えたりしたためですが、ワンコインでと設定しました」

   これに対し、漫画の表紙で勝負しているのが集英社文庫。2007年に、文庫創刊30周年を記念して、太宰の「人間失格」を出したのが始まりだ。表紙は、「DEATH NOTE」で知られる小畑健さんが描いた。現在のイラストでは、イスに座った制服姿の若者がこちらを眼光鋭く見つめている。

   「若い読者に、古典の名作に親しみを持って、気軽に手に取ってもらおうというアイデアです。小畑さんのイラストを使ったのは、編集者が、その世界観が人間失格の世界観に合うと考えたのがきっかけでした」(集英社広報室)

   09年は、「テニスの王子様」で知られる許斐(このみ)剛さんイラストの「走れメロス」など、漫画3点を表紙にした文庫を6月26日に出版した。漫画のほか、アイドルも表紙に使っており、09年は、テレビドラマなどで活躍中の岡田将生さんを起用した。

   現在は、こうしたスペシャルカバーの文庫が6点あり、売れ行きは順調という。特に、「人間失格」は、太宰ブームでここ2年のうちに重版を重ね、35万部も出た。

   ただ、活字離れと言われる若者たちが、古風な名作を買った後に本当に読んでいるのか。

   ぶんか社の小川さんは、「大上段に構えずに、とりあえず買ってみることが、入り口になると思っています」と言う。集英社では、「作家の写真が載っていたり、アイドルなどの鑑賞も書かれたりしていますので、初めて読む人も関心を持って入り込めるはずです」としている。

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