司法書士と激烈「お客」奪い合い
かつて、弁護士の広告活動は「弁護士としての品位を落とす」などの理由で禁じていたが、2000年に解禁。当初こそ、新聞やバス・電車の車内広告で見かける程度だったが、それが最近はテレビCMにまで「エスカレート」した。
テレビCMが増えた背景には、消費者金融業者などへの「過払い金の返還請求」がある。多重債務者の救済目的もあって、弁護士らが「払いすぎた利息分を取り戻せる」と債務整理を呼びかけた。
一方で、司法書士との「競争」は激しい。司法書士は、新たに債務整理に参入したこともあってPRに熱心。とくに若手は登記業務の仕事が少ないため、「広告でニーズを掘り起こせて、かつ報酬のよい債務整理に飛びついた」(司法書士)。司法改革で弁護士自身も増えたので、競争はさらに激しさを増している。
ITJ法律事務所のホームページによると、過払い金の返還請求は毎月200件以上に及ぶ。過去1年間の回収実績は1030件、回収金額で4億6000万円に達する。また、ホームロイヤーズの債務整理の相談件数は、約18万件(02年~09年5月累計)にも上る。
ただ、最近は、報酬にからむトラブルや、依頼者の承諾なしに多重債務の任意整理を進めたり、勝手に消費者金融業者(債権者)などと和解したりして、懲戒処分を受ける弁護士が出てきた。宣伝・広告の「行き過ぎ」を指摘する声も出ている。