ネット通販サイト大手のamazonは、携帯電話向けストア「アゲ↑アゲ↑ストア」を立ち上げた。夏にちなんだ商品をラインナップし、ページ内には若い子が使う言葉が多用されているのがユニークだ。
「チルしたい」など若者言葉を多用
モバイル限定ストア「アゲ↑アゲ↑ストア」は2009年7月10日、オープンした。amazonではこれまでにも、時季にあわせて「夏フェスストア」「天文ストア」などカテゴリー別の特集を組んで、商品を紹介する特設ページを立ち上げたことがあった。ただ、携帯電話向けは初めて。しかも若者をターゲットにしているのは珍しい。
「アゲアゲ」とはテンションが高いという意味で、商品には夏を意識したアイテム650種類以上をそろえている。商品の探し方がユニークで、9つにわけられた「したいことから探す」、5つある「タイプ別から探す」で商品がチェックできる。
「したいことから探す」では、たとえば、「彼女・彼氏とチルしたい」「『ワルメン』映画をチェック」「海・プールで遊び倒す!」といった項目が並んでいる。「チルしたい」とはくつろぎたい、まったりしたいといった意味。「chill out=落ち着く」から派生したと言われているようだ。この項目をクリックすると、商品にはたとえば、映画「恋空」「赤い糸」といった恋愛映画、あるいは夏の定番・ホラー映画などなど、家でくつろぎたい時に欲しい商品が表示される。
「『ワルメン』映画」の項目では、不良学生(=ワルメン)が活躍する映画「クローズZERO」「ルーキーズ」「ごくせん」「ドロップ」が紹介されている。また、「海・プールで遊び倒す!」ではビーチグッズが、「クラブ・イベントでアゲアゲ↑」では、若い人に人気があるHIPHOP、R&B、REGGAEといった音楽ジャンルを中心に集めている。
若者に馴染みのある言葉遣いで、心理的ハードルを低く
一方、「タイプ別から探す」では、「egg系GALタイプ」「アゲ嬢タイプ」「お姉系GALタイプ」「men's egg系/お兄系タイプ」「B-BOY系タイプ」という5項目にわけられている。いずれも若者向けのファッションジャンルを指し、利用者は、自分のスタイルにあった商品を選びやすいというわけだ。
こうした若者向けの言葉を多用したサイトの作りに対して、J-CAST会社ウォッチで「携帯電話」コラムを執筆している井上トシユキさんは、「面白い試みですね。なかなか上手いやり方では」として、次のように分析する。
「若い子たちには馴染みのある言葉遣いをすることで、(商品購入の)心理的なハードルが低くなると思います。最近はネットで販売が伸びていることもあり、先手を打って(若いお客さんの)囲い込みをしているとも考えられます」
なお、調査会社MMD研究所が2009年4月に発表した「モバイルコマースに関する利用動向調査」では、09年3月に携帯電話でショッピングしたことがある人は全体で33.8%、男性で29.5%、女性で38.4%だった。世代別に見ると、10代以下で26.1%、20代前半で35.0%。07年5月に同研究所が発表した同様の調査結果では10代の12.5%、20代前半の27.3%はケータイから商品を購入した経験があるとしており、ここ2年、若年層の利用者も増加傾向となっている。