次期衆院選への不出馬を表明した宮崎県の東国原英夫知事に、地元では「ブーイング」が吹き荒れている。今回の一連の騒動は「宮崎県を踏み台にしようとした」と感じる県民が多いようだ。さらに、自民党からでさえ「県民の心は知事から離れかけている」と批判の声が出ている始末だ。
「県民の心は知事から離れかけている」
宮崎日日新聞は2009年7月17日付けの社説で、今回の「東国原劇場」によって失ったものは大きく、「これから東国原知事には、いばらの道が待っている」としたうえで、
「県民の知事への失望の声が相次ぎ、県職員からは『知事は県庁内部には関心がない』との冷ややかな言葉を聞かされるなど、まさに憂うべき事態だ」
と書いている。国政に転身しようとしたのは任期半ばで、今後も任期中に国政を目指す可能性もある。県民は知事の「国政に出て宮崎を変える」という発言で、「県民との間に深い溝が生まれた」、というのだ。
西日本新聞(09年7月17日)は「県政運営多難に」という見出しで、県政関係者から出ている数々の批判を報じている。自民党からでさえ冷やかな見方をされているのだ。
緒嶋雅晃県連会長 「県民の心は知事から離れかけており、残りの任期を前向きに頑張ってもらうしかない」
民主党田口雄二県連幹事長 「熱心な支持者ほど怒っており、地に足を付けた県政運営を行わないと、県民をまた振り向かせるのは難しい」
共産党県委員会津島忠勝委員長 「県民は宮崎を『どげんかして』と思って選んだ。知事はマニフェストをほぼ達成したというが、県民の暮らしは本当に変わったのか。課題は山積している」
さらに、辞職しろと迫る政治家も現れたとも報じている。
社民党県連合鳥飼謙二代表 「知事選で『県民党』『脱しがらみ』を語りながら自民党にすり寄ったことは県民に対する背信行為。県政を混乱させ、不信を招いた責任を取り辞職すべきだ」
「宮崎は踏み台じゃない!何様のつもりだ!」
知事の評判、実際のところどうなのか。県民に聞いてみた。
宮崎市の男性は、
「今回の騒動について、市民は意外に淡々と見ていたと感じます。知事として残ってくれて嬉しい、という人もいますが、かつてのような人気を維持するのは難しいでしょう」
と突き放す。
また、宮崎県の商業関係者は、「知事が国政に行くという話が出たときから、『宮崎は踏み台じゃない!何様のつもりだ!』と思い、怒り心頭だった」と打ち明ける。任期半ばでの転身という無責任さもそうだが、知事に就任以来ずっと応援してきたことに対する裏切りだ、と感じたからだそうだ。
また、転身の相談を東京にいる師匠(ビートたけし)にしたことも、「宮崎県を軽んじている」と感じた。そのため、
「一度失った信頼を元に戻すなんて、そう簡単じゃないでしょうね。これからどう、県民に誠意を見せてくれるかが鍵になるでしょう」
と話した。