「返品を希望する人は少ないのでは」
「ロッテリアの試みは、よく知られたマーケティング手法の1つです。ただ、外食産業では非常に珍しく、面白い取り組みです」
こう話すのは、企業の経営コンサルティングなどを手がけるMBA Solution(東京都渋谷区)の代表・安部徹也さんだ。安部さんによると、購入後の返金に応じる手法は「リスク・リバーサル」と呼ばれ、通信販売などの高額商品を扱う場合をはじめ、多くの業界でたびたび活用されているという。
売り手は、消費者が抱く商品購入前の不安・心配を緩和させることができる。「反対に、買い手は心理的なハードルが低くなります。購入前に躊躇していた気持ちが、返品できるならとりあえず買ってみようか、となるわけです。この手法を取り入れ、これまでにも売り上げが伸びた例は多々あります」
ただし、安部さんは、「今回のハンバーガーが360円と低価格ですから、急激に売り上げが伸びるかどうか、それはまだわからない」とする。それよりも、テレビ・新聞・インターネットほぼすべてで取り上げられたことを踏まえると、話題作りには非常に効果があったと指摘する。広告費換算すれば数億円にものぼるのでは、と見ている。
「日本人は常識的、行儀がいいところがあって、返品を希望する人は少ないのではと思います。たしかに一定数の返品は予想されますが、返品の際、アンケートに答えることになっています。これにより、今後の商品開発にお客さんの声を直接つなげやすい効果が期待できそうです。そういう意味でも、上手いやり方だと思いました。その後にも注目したいと思っています」