新ジャスダック統合後が、実は正念場
この点について、大証首脳は「統合に当たっては、時間軸の速さを重視したい。スピード感があるのは、持ち株会社化ではなく、合併だ」と解説する。ここで言う「スピード感」とは、ジャスダックとヘラクレスの両市場の完全一本化の速さを意図しているのは言うまでもない。大証としては、両市場を新たなジャスダックに統合した後が、実は正念場となる。東証マザーズへの対抗軸を築くためには、名証セントレックス、福証Qボードなどを巻き込む必要があるが、この戦略がスムーズに進むとは限らないからだ。
大証に次ぐ存在である名証セントレックスの上場銘柄数は、ピークだった33社から現在は28社に減少。08年3月を最後に新規上場はなく、地元の新興企業の多くは、知名度に勝るマザーズやジャスダックを志向している。名古屋、福岡、札幌の各証券取引所とも、新興市場は上場企業数も売買代金もマザーズ、ジャスダックに遠く及ばず、成長戦略を描けないのが現実だ。日本証券業協会もかねてから、新興市場の再編の必要性を説いている。
しかし、「名証などは独立意識が強く、大証が主導する新興市場再編への合流など潔しとしない」(証券関係者)といわれる。各証券取引所とも独自の看板を下ろしたくないのが本音だが、打開策が見つからない以上、新たなジャスダックとの統合に向け、大証との水面下の駆け引きに応じざるを得ないとみられる。