「まだ公式に作った記念館がない」
一方、夏目房之介さんブログのコメント欄には2009年7月12日、「一般財団法人 夏目漱石」理事長の夏目一人さんを名乗った反論が寄せられている。
そのコメントでは、まず「突然のブログへの書き込みに驚いております」。財団設立は、祖父の遺品類や漱石の資料が存在しており、まだ公式に作った記念館がないためとし、「肖像物など公に正しい方法で提供するシステムを作りたい」と説明した。そして、活動の支障になるとして、ブログの全文削除を求めた。「このような形で、回答することは誠に心苦しい」ともしている。
漱石の遺品などは、神奈川近代文学館に房之介さんが父親の死後に寄贈したものがある。また、熊本市の史跡に指定された旧居内と、伊豆・修善寺で逗留した旅館が、漱石の記念館になっている。東京・新宿区でも、晩年に過ごした漱石山房を復元して、記念館的な建物にしようという取り組みが進められている。
新宿区の取り組みについては、財団との関係に関する問い合わせがあったといい、区の文化観光国際課は7月7日、「新宿区と、この財団法人とは、一切の関係はありません」とのお知らせをサイト上に載せた。同課の課長は、「寄付金を募ったり、フォーラムを開催したりするなど、財団の事業概要とよく似ているので、一緒にやっていると誤解されては困ると考えました」と説明する。
そんな中で、財団は、なぜ新たな記念館などを手がけようとしたのか。J-CASTニュースでは、財団側に取材を申し込んだが、広報担当者が不在とのことだった。