総選挙を先延ばしして何とか政権にしがみついた麻生首相。しかし、自民党内に不穏な動きがあり、解散まで持つのか未知数だ。もしこのままなら、週刊誌などが予測する与党過半数割れの事態が待っているだけなのか。
またもやブレた印象
解散を決断した麻生首相
観測気球を上げたものの、無残にも打ち砕かれてしまったらしい。
都議選惨敗後の2009年7月13日未明、麻生太郎首相は、14日にも衆議院を解散、8月上旬の投開票の方針と一部新聞などが報じた。しかし、13日午後には一転、日程を先延ばしし、21日にも解散、8月30日の投開票の方針を表明し、またもやブレた印象を与えてしまった。
政治アナリストの伊藤惇夫さんは、その事情をこう分析する。
「都議選後、即時の解散は、公明党が絶対反対しています。解散しようとしても、閣議で署名を拒否する大臣がどんどん出て、厳しい立場に追い込まれるでしょう。また、日程を遅らせることで、『麻生降ろし』を封じられるメリットが考えられます。この2つの意味から、即時解散を断念したのだと思います」
似たような前例がある。1976年に、当時の三木武夫首相は、「三木降ろし」に抗して、衆議院を強引に解散しようとした。が、15閣僚に署名を拒否され、解散ができないまま任期満了を迎えている。麻生首相は、このことに考え及び、自ら手を打ったのかもしれない。
とはいえ、まだ油断大敵だ。自民党の反麻生勢力や若手からは、「麻生では戦えない」と不満がくすぶっている。21日の解散までに政権が持つかについて、伊藤さんも「不透明なところが確かにある」とみる。政権が続いても、総理と自民党総裁を分離する「総総分離」の可能性もあるという。「それなら、解散後も総理の首すげ替えがありえますね」。