2009年7月13日、東国原知事は記者会見で、次期衆院選での国政進出について大幅にトーンダウンした発言をした。芸人時代の師匠のビートたけしさんからも「宮崎に帰れ!」と一喝され、「重く受け止めたい」と言わざるを得ない立場に追い込まれている。自民党の都議選惨敗の要因にも挙げられ、知事は「まだ決めていない」としているが、「断念」に向けて外堀は埋められた形だ。
ビートたけし「宮崎に帰れ!」と一喝
東京都議選での惨敗の様相が濃くなった2009年7月12日午後10時半過ぎ、石原自民党都連会長は、中央が混乱し、自民党が一枚岩でない印象を与えたと振り返り、
「選挙中に衆院を解散するとかしないとか、東国原知事の公認問題などがあり、候補者の足を引っ張った」
などと語った。
石原会長は同日にフジテレビ系報道番組「サキヨミLIVE」に出演。司会の伊藤利尋アナウンサーから東国原知事への出馬要請は「失敗だったか」と問われると、
「都民から自民党はどうなっているんだという、そんな声が圧倒的に多かった」
と話した。知事を担ぎ上げようとしたことがマイナスに働き選挙民の不信感を買った、ということらしい。
一方の東国原知事は、09年7月10日に、芸人時代の師匠のビートたけしさんと会食。ビートさんは知事に対し、メディアは甘くない、逆風どころの騒ぎではないとし、
「宮崎に帰れ!」
と一喝したという。知事はビートさんの提言に対し「重く受け止めたいと思っております」と記者団に述べている。
知事会のマニフェスト採用なら「自分は出る必要がない」
知事は都議選後の09年7月13日に記者会見した。その中で、自民党の都議選惨敗について、自民党の体質が硬直しているからだとした上で、「変えられないかもしれないけれど」と皮肉まじりに語った。
国政進出に批判的な声が上がっている、という記者の質問には、自分への批判の声は「粛々と受け止めないといけない」と話した。批判の声が上がるのは、県知事としての任期を全うしないうちに国政に転出することへの違和感なのではないか、と分析。仮に、自民党が地方分権に関する全国知事会の考えを採用し実行してくれるなら、「(自分は次期衆院選に)出馬する必要もない」と、かなりの弱気な発言をした。ただし、出馬するか取りやめるかはまだ決めていない、ということだった。